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貧困への怯えの残滓こそがオイルショックの本質!
親愛なるアッティクスへ

私には、今も忘れられない子供の頃の一つの思い出があります。
それが、昭和48年(1973年)に起こった「オイルショック」です。
あの騒然とした世の中・・・、トイレットペーパーに群がった人々・・・、狂乱物価と言われるほどに短期間で高騰する物価・・・、まるで、日本という「国」そのものが顔面蒼白になったような雰囲気で、それだけに、私も長じてより後、「あれは一体、何だったのか?」ということがずっと頭の片隅にあり、自分なりに当時の政府の実務担当者たちの証言番組を見、様々な回想録なども読んでみたのですが、どういうわけかイマイチ納得できる答えが見つかりませんでした。
(石油が無くなる・・・と言いながら、実際にはこの騒動の期間に付いて言えば、日本の石油備蓄量は足りていたのだそうですね。)
で、最近、ようやく、自分なりに腑に落ちる結論に辿り着いたのですが、それすなわち、「オイルショックとは、日本にまだ貧困というものの記憶が残っていた時代の、最後の残滓ではなかったか・・・」というものです。

これについては、私には今でも鮮明に覚えている記憶があります。
オイルショックが起こったその日、当時、小学校六年生だった私が帰宅すると、母がわざわざ玄関まで出てきて深刻な顔で、「大変なことになった・・・。世の中から石油が無くなるらしい。やっぱり、今までが良すぎたんだ・・・。いつか、こんなときが来るのではないかと思っていた・・・」と言ったことです。

確かにオイルショック前の数年間、世の中は急速に変わっていました。
我が家でもカラーテレビは来る、写真はカラーになる・・・で、その繁栄の頂点こそが昭和45年(1970年)の「大阪万博」だったでしょう。
子供心にも、未来永劫、日本の未来は明るいと信じて疑いませんでしたね。
(ついでに言えば、この頃、父が海外旅行に行ったときは本当に驚きましたね。当時は、1ドル=360円の時代ですし、子供心にも、海外旅行なんて本当に庶民には縁がない夢物語のような感じでしたので。ちなみに、父の最初の海外旅行先は沖縄です。日本に復帰する前の、パスポートが要った時代の沖縄ということです。)

つまり、戦後の貧困の時代から、一転、未曾有の好景気「高度経済成長」を謳歌しつつも、同時に、誰もが皆、心のどこかで、「いつか反動が来るのではないか?」、「今が出来すぎなんじゃないか?」・・・と、この良すぎる時代に対する怯えがあったのではないかと。
それが、単なる産油諸国の「脅し」にすぎなかったものを「見積有効期限1時間」などという狂乱物価へと導いてしまった理由であり、その意味では、たとえ今の日本が同じ状況に置かれたとしても、ああいうことになるようなことはないように思いますね。
                                        平太独白
by heitaroh | 2009-10-13 08:01 | 思想哲学 | Trackback | Comments(4)
Commented by 芙蓉 at 2009-10-14 10:21 x
おはようございます。今日も朝から清々しい秋晴れですね。
パソコンの調子はその後いかがでしょう?

さてさて、懐かしい気持ちでエントリー、拝見しました。
貧困への怯え、なるほどと。
オイルショック、当時、世の中、何が起こったのか訳がわからず、
それでも、トイレットペーパー、買った覚えがあります^_^;。
でも、実際は、それほどでもなかった??
大阪万博も懐かしいですね。父に連れて行ってもらったのですが、
あの太陽の搭の前で、姉と2人、母の手作りのワンピースを着て、
にこやかな笑顔で写った写真が...。
パビリオンのお姉様、皆様、美しかったです。
日本中があの太陽のように、燃えていました。期待と希望で。
ちなみに沖縄返還は、私の卒論のテーマでした。(笑)
そして、好景気、いっきにバブル崩壊へと突き進み、
この30年の流れ、変革は凄まじいものがありましたね。

嗚呼、それだけ、年をとったということでしょうか...♪。
興味深いお話、有難うございました。



Commented by heitaroh at 2009-10-14 17:52
< 芙蓉さん

こちらは、今朝は雷雨でした(笑)。
午後から晴れるという話でしたが、昼頃、少し持ち直したものの、すぐに怪しくなりました。

日本中が顔面蒼白になったようだったオイルショック当時・・・。
しかし、今の日本に、同じように、「明日から石油が無くなる」と通告があったとしても、あのときのようなパニックになるようには思えないんですよね。
やはり、そこには、何だかんだ言っても、豊かさを享受している現代日本の現状があるのでしょう。

ちなみに、大阪万博のお姉様方も眩しいほどにお綺麗でしたが、私的には、外人を間近に見た方が驚きでした(笑)。
日本の未来は永遠に明るいと・・・子供心にも、いささかでも疑うことはなかったですね。

でも、沖縄返還が卒論のテーマ・・・というのは、母の手作りのワンピースを着て、大阪万博に行った人としては、随分と時差があるテーマですね。
もっとも、未だに片づいてない問題ですから、色褪せることのない普遍のテーマなのかもしれませんが。
Commented by silku928 at 2009-10-15 08:29
おはようございます。昨夜はこちらも雷雨でした。
今日は一転、秋晴れ、洗濯日和です。

ワンピースと沖縄返還、

>随分と時差があるテーマですね

さすがです、平太郎さん、鋭いです。
ワンピースは横に置いておいても、
沖縄返還は、確か私15の春??
13歳から15,6歳にかけて、世の中も、自身も、
その成長、変化が著しかったように記憶しています。
万博→沖縄返還→オイルショック?
沖縄返還のニュース、中学生にも、衝撃的でした。
それから、7年。
本来なら、子供達が真に求めている教育とは??なんていうのが
妥当な卒論テーマだったのでしょうが、
なぜか、私は、その後も問題を抱えるオキナワを選んだのでした。
う~ん、15の時の刷り込みがあったのかしらん??記憶が...?
そうですね、普遍のテーマですね。当時も今も。

追記
外人さんを近くで見て衝撃だったというのは、よ~く分かります。
好奇心イッパイの少年の顔が浮かびます(^.^)。
金髪、高い鼻、大きな瞳、すべてが珍しくて、
自分の横にいることが不思議で、私も見惚れました。
あと、パビリオンのお姉様の制服にも憧れました!!
Commented by heitaroh at 2009-10-15 16:14
< silku928さん

何だか、年をばらすようなことになってしまって申し訳ありません(笑)。
芙蓉さんの言われる「変化が著しかった」時代というのは、大体、私の小学校高学年に当たります。
それだけに、本当に、眩しいばかりに輝いていた大阪万博から、オイルショックに行き着いた頃というのは、私にとっても、まさしく、少年を卒業する時期に当たっており、自身の成長と共に時代の変化を実感していたように思います。
(私の小学校時代はちょうど、高度成長時代に被るのですが、近所にビルが立ちこめるようになっても、苦労人の母から、いつも、「昔はひどかった。今が普通と思ってはいけない。いつか、きっと、しっぺ返しが来る・・・」ということを言われ続けてましたので、オイルショックが来たときは、ついに来るべき物が来た・・・と思いましたよ。)
翌年には、長嶋も引退しちゃうし、キャロルも解散するし、はっきりと時代の変わり目というのを認識しましたね。

ただ、沖縄返還については、記憶にはありますが、まだ、小学生でしたので、こちらはそれほど、強い印象はありません。

ちなみに、私の卒論・・・、まったく覚えておりません(笑)。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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