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大河ドラマ「天地人」の極端な主人公中心史観に興醒めの春
昨日、一昨日は少し肌寒かった福岡県地方ですが、今日からはまた、元の春の陽気に戻りそうですね。
例年、私はゴールデン・ウィークに入ったら、冬も完全に終わり・・・ということで、ストーブなどを片づけるようにしておりますので、今年もどうやら、これで寒さとはしばらくお別れのようですね。

ところで、今年の大河ドラマ「天地人」(でしたよね?)ですが、今まで辛抱強く見てきましたが、ついに見るのを断念しました。
主人公を素晴らしく描くがために、他の登場人物、特に敵対側を落として描く・・・というのは、まあ、こういう娯楽時代劇に置いてはありがちな手法でしょうが、今年の大河ドラマは、それにしても、ちと、酷すぎますね。
思わず、昭和30年代の時代劇全盛の頃の中村(萬屋)錦之介主演映画を思い出してしまいましたよ。

まあ、こういう点は、以前から指摘してましたとおり、最近の大河ドラマは往々にして、そういう、「普通の人がなぜか何もしないうちに偉くなってしまう」傾向があるものの、それにしても、今年のは、「今時、この史観かよ」みたいなところが目立ち・・・。
曰く、織田信長桶狭間で勝てたのは今川義元が油断していたのを雨に紛れて奇襲できたという「信長運が良かった説」・・・、徳川家康はリスクがあることは徹底して避け、ひたすら熟柿が落ちるのを待った「家康狸オヤジ説」・・・。
桶狭間の戦いは現在では今川の油断以前に、そもそも、奇襲ではなく、正面攻撃説が優勢ですし、家康が狸オヤジ的な印象を持たれるのも、最晩年に大坂の陣で謀略によって豊臣家を滅ぼし、天下を獲った印象によるものであって、今時、これはないよ・・・と。

さらに、決定的なのは、武田家との関係についてです。
いわゆる、「武田勝頼は父信玄に似ぬ愚物だから武田家を滅ぼし、上杉は智将・直江兼続の補助があったから滅びなかったという勝頼暗愚説と兼続優秀説」・・・ですね。
この点は、以前も申し上げましたが、武田家が滅びて、上杉家が滅びなかったのは、単に「武田が先で上杉が後だった」・・・というだけの話で、これひとえに、天下布武の覇業に邁進していた織田信長本能寺の変で思いがけず死んでしまったという、つまり、「運が良かった」だけのことにすぎないわけですね。
それに、武田家には兼続のような優秀な人が誰もいなかったかと言えば、決して、そんなこともなく、実際、智将の誉れ高い真田昌幸などもしっかり居たわけですから・・・。
武田家と上杉家が同盟を結ぶことについても、劇中では信長が「まさか」と言って絶句してましたが、これも、ただただ嘆息尽きず・・・で、追いつめられた者同士、少なくとも、信長が驚くことはあり得ないでしょう。
せめて、兼続には、武田との同盟を進める上では、「武田にも隣国・北条家が巨大に成りすぎることを歓迎しないはずだ」・・・くらいのことは言わせて欲しかったですね。
                                         平太独白

by heitaroh | 2009-04-28 08:22 | 文学芸術 | Trackback(1) | Comments(2)
Tracked from 好都合な虚構 at 2009-05-01 04:31
タイトル : 祝 メーデー!  
メーデーです。まだ組合が生きている会社は休日でしょう。しかし、こんなお祭りさえなくなったようです。 敗戦後、労働者の祭典としてメーデーも行なわれるようになりましたが1952(昭和27)年のメーデーは大きな事件になりました。 約1万人のデモ隊が前年からメーデー会場として使用禁止されていた皇居前の広場に入り警官隊と激しい乱闘になったのです。そしてデモ隊側に2人の死者と多くの負傷者が出ました。いわゆる「血のメーデー」です。 この後、自民党が支配する「55年体制」ができあがり、まだ続いてい...... more
Commented by D-KID at 2009-05-01 22:54 x
関係ない話題ですが、連休本格化ですね。
GWと言うと『どんたく』ですが、へいたらうサンの中ではどんたくと山笠の位置づけってどうなんでしょうか?長崎人が感じるところのくんち(伝統行事)とランタンフェス(一般参加型のお祭り)みたいなもんでしょうか?

さておき、新潟では『天地人』にかけたイベントや商売が『これでもか!』と言うぐらい盛んですが、実はこのドラマ一度も見ていないんですよね。
脚本家の思い一つでストーリーが描かれる以上しょうがないのかな?史実をテイストにしたフィクションでしょうから。
却って5年前の三谷幸喜脚本の『新撰組!』くらいが飛んでて良かったんじゃないでしょうか?個人的に僕が好きな作家だったというのもありますが。
Commented by heitaroh at 2009-05-02 14:51
<D-KID さん

以前も書いたと思うのですが、山笠というのは、本来、福岡市の中の博多という狭いところでのお祭りでして、私は一度も出たことがありません。
ただ、毎年、風物詩として、見には行ってます。
一方、どんたくは単なるパレードですから、それほど面白い物でもなく、毎年、なぜ、これにあんなに人が集まるのかが理解できませんで、従って、私も何度か、数えるくらいしか行ったことがありません。
ただ、こちらは一度だけですが、出たことがあります。
ということで、まあ、位置づけとしては、仰るとおりだと思いますけどね。

>却って5年前の三谷幸喜脚本の『新撰組!』くらいが飛んでて良かったんじゃないでしょうか?

まさしく!
私もまったく同感です。
どうせ、ドラマとして描くのであれば、あれくらいがかえって、楽しめていいですよ。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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