カテゴリ:私小説( 27 )

To be, or not to be・・・告知するべきか、せざるべきか、それが疑問だ的告知
親愛なるアッティクスへ

昨晩は、多忙にも関わらず、映画、「ALWAYS 三丁目の夕日」の上映が今日までと聞いたので、意を決して、今頃見に行ってきました(笑)。
どういうわけか、昼間のシーンではまるで実感が湧かなかったんですが、夜の場面は、見事に私が子供の頃の風景でしたね。
ストーリー的には、まあ、ありがちなストーリーだったんでしょうが、わかっちゃいるけど、まんまと術中にはまって胸が詰まった・・・みたいなところが・・・、あ、私は泣いてませんから(笑)。
隣のおばさんは泣いてましたけど・・・。
でも、最終日前日ということもあったのでしょうか、びっくりするくらい狭い部屋でしたが満員でしたね。

で、少し、大げさなタイトルになってしまいましたが、私は、以前、「こういうブログは、突然、消えてしまったりすることがある。」と聞いて以来、なるべく、こまめに、保存するようにしていたのですが、さらに、万一のことを考え、エキサイトメインに、もう一つ、gooでも同じ内容のブログを作るようにしました。
ところが、今、私が使っております「エキサイト・ブログ」が、どういうわけか、去年の暮れ辺りから、私が使っているパソコンでの保存が出来なくなりました。
別のパソコンでやると、ちゃんと保存出来ますし、予備用として作成しているgooの方は、これまでどおり、何の問題もなく保存出来る・・・という不可思議(笑)。
で、先月は、別のパソコンで保存したモノをメールに添付して送って、保存していたのですが、ふと、エキサイトでは、設定の中に、PDF出版という項目があるのを思い出しました。
もちろん、以前から、そういう機能があるのは知っていたのですが、この、昭和生まれアナログ人間には、「心ここに有らざれば見えれども見えず」で、事実上、無きに等しい機能でした。

で、保存が出来ない・・・ということで、「これでもやるか・・・。」と思い、そのPDF出版というモノをやってみたのですが、終わったところで、「公開しますか?」と聞かれたもので、「公開する」を押したところ、「後悔する」になってしまいました(汗!)。
なぜなら、例によって、深い考えがあってやったわけでもないですから、とりあえず10月までの記事すべてをPDFにしてしまいましたので、どれくらいあるのか見てませんが、かなりの厚みになっていると思います。
ていうか、「公開する」を押したモノの、どこに公開されているか、まったく、わかりませんでした。

で、そのうち、ふと、当エキサイト・ブログの右下隅を見てみると、PDFの文字が・・・。
「???」と思い、クリックしてみると、当ブログのPDF化されたものが・・・。

ということで、当ブログも、去年の3月25日から始め、お陰様で、もうすぐ一周年です。
これも偏に皆様方のお引き立ての賜物と存じますので、私からのささやかなプレゼントです。
こんな分厚いモノ、プリントアウトしたい!という奇特な方がいらっしゃいましたら、どうぞ(笑)。
ということで、こんなの告知していいものやらどうやら・・・と困惑している、今の私の心情が表題のハムレット的告知となったわけです(笑)。

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by heitaroh | 2006-03-10 08:44 | 私小説 | Trackback(2) | Comments(2)

何を暗示するのか!仕事始めに語る、嗚呼、今年の初夢!!
親愛なるアッティクスへ

本当は、年末年始筆休め・・・と決め込み、な~んにもするつもりはなかったのですが、そう思いながらも、やはり、文字人間の哀しい佐賀・・・違う性(さが)、結局は、アップしてしまいました(笑)。
(昔、私の友人が、「今度のツイストの新曲、何か知っとうや?ナマぜ!」と私に言いました。で、その夜、ザ・ベストテンでは、黑柳徹子さんが、「第十位!新曲でベストテン入り!世良正則とツイスト!、『性(さが)!』」と叫んでました。・・・マジの話です。)

ということで、私としては、今日からが、仕事初めですので、今日が本当の意味での書き初めならぬ、筆始め・・・ということで、改めまして、明けましておめでとうございます
旧年中は、取るに足らない当ブログをお引き立て頂き、誠に有り難うございました。
今年も何卒、お見捨て無きようよろしくお願いし申し上げます。

e0027240_18583128.jpgで、正月といえば、雑煮はもう紹介しましたので、今度は、博多の正月料理の一つ、「ガメ煮」です。
通称、筑前煮と呼ばれる物ですが(まあ、どちらが通称なのか・・・(笑)。)、最近では、割と居酒屋メニューなどでも見かけるようになりましたので、あるいはご存じの方もいらっしゃるのではないかと思います。
が、あくまで、我々(・・・うちだけ?)にとっては、ガメ煮です。
まあ、取るに足らないものですけど、ガメ煮よろしく!(矢沢永吉 風に・・・。)

で、正月と言えば、初夢です!
私の初夢は、以下の通りです。
できれば、栄養学化学物質に詳しい方がいらっしゃいましたら、アドバイスなりを頂戴出来ればと思います(笑)。
以下。
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入院中の師を見舞う。
師は、病院のベッドに浴衣姿でベッドを少し起こした状態で待っておられた。
はだけた浴衣の胸の奥には、あばら骨が浮き出ているのが見えた。
(痩せられたな・・・。)
病床の傍らには、夫人が付き添っておられたが、師は私の顔を見るなり、「おお!来たか来たか!」と言って、嬉しそうに、「まま、一杯やれ。」と言って、グラスを差し出される。
「いや、病院の中で酒はまずいですよ。」
私が腰を下ろしながら、そう言うと、師は、「構うことはないさ。」と言い、お構いなしに、グラスを二つ、傍らにある病室備え付けの収納の上に置くと、慣れた手つきで五合ビンのフタを開けた。
グラス半分ほどに酒を注ぎ、取って返して、自らのグラスにも酒を注がれたが、傍らの夫人も何も言わない。
(それほどに悪いのか・・・。)
内心、そう思いながらも、顔には出さず、「いや、車ですから・・・。」と再度、固辞したが、師は「いやいや、少しくらいなら、警察もそううるさくは言わんよ。まあ、いいかから飲みなさい。」と構わずにグラスを私の前に差し出された。
師の、少々、時代錯誤のセリフに苦笑しながらも、(思えば、ここ数年は、車などは運転しておられないだろうからな。)と思うと、それ以上、固辞するわけにもいかなかった。
私は、「じゃあ、まあ。」と言いながら、師の手より、グラスを受け取った。

私は、仕方なしに、グラスに口をつけ、いつものように、ちびりちびりと飲み始めると、「君の飲む姿を見るのは久しぶりだな。私が生きてるうちに飲んでおいてくれよ。」と言われる。
私も少し、酔ってきたので、いつもの調子で、「何の、師より先に逝くのは弟子の務めですから・・・。」と悪態をついた。
師は嬉しそうに、「ははは、おかしな理屈だな・・・。」と言うと、酒を口に含むなり、ごくりと喉を鳴らして飲み込まれた。
私としては、吉田松陰と佐久閒象山を思い浮かべて言ったのだが、それには触れずに、「いや、どうしても逝かれるというのでしたら、後に残る者たちに、化学物質か栄養素などを例に引いた遺訓十戒でも残していただきたいものですな。」と言った。
「ほう、そう来たか。」と言うと、また、嬉しそうに、酒を口に含まれた。
それを見ながら、私は、「いや、それができないのであれば、先に逝くのはやはり、弟子の役目ですな。」と言うと、師は、「ならば、目に物を見せてやらねばなるまい。」と言われ、屈託なく、子供のように笑われた。

病院を出て、車に乗ったところへ、私の携帯が鳴り、夫人からの師の訃報が届いた。
慌てて、病室に取って返した私に、夫人は黙って、便せん用紙を差し出された。
その一番最初の一枚に、「第一条 グリコーゲンは、まあ、タンパク質が女遊びをしてできたようなもので・・・」とだけ書かれていた。
「あなたが帰られてから、すぐに、これに取りかかったんですのよ。でも、ここまで書いて・・・。」
そういうと、夫人は、それ以上は、言葉にならず、その場に泣き崩れられた・・・。

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ちなみに、あくまで、夢ですから、細かいディテールなどには突っ込まれませんよう(笑)。
ちなみに、グリコーゲンとタンパク質のところは、何と言われたか忘れましたので、私が勝手に入れました。
あるいは、化学物質だったかもしれません。
お知恵拝借!
衆知を集めるとはまさにこのことかと・・・。
ちなみに、私には、このような師はいません。
何かを暗示しているのでしょうか???
師よ、お導きを・・・。
                                平太独白
by heitaroh | 2006-01-05 07:39 | 私小説 | Trackback | Comments(4)

私事に見る「天道是か非か」的告知
親愛なるアッティクスへ

e0027240_14135498.jpg私儀、恥ずかしながら、この度、二冊目の著書「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」を出版致しました。
お笑い下されたく候です。
ちなみに、前作、「傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯」は、その節は、ヨン様と並んでましたが、今回は石原慎太郎と並んでました(笑)。

ちなみに、マジの話ですが、今日もずっと、車を運転しながら、著書のことを考え、ブログのことを考えていたら、ラジオから血液型占いが流れてきて、聞くとも為しに聞いていたら、「A型の貴方。(私です。)自意識過剰にならないように。井の中の蛙と笑われますよ。ラッキーポイント世界地図です。」と・・・。
嗚呼、天道是か非か・・・。

実は、アマゾンでもまだ、画像も登録されてませんし、店頭に並ぶのも来月初旬と聞いてましたので、それから・・・と思っていたのですが、先ほど、友人を迎えに博多駅に行ったら、すでに並んでましたので、慌てて、UPした次第でした。
本当は、昨日でブログも仕事納めにしようかな・・・と思っていたのですが・・・。
ちなみに、正月の間、アップされ続けれるだろうと言う腹黒い計算も・・・(笑)。

さておき、今回の作品は、名前からすぐにおわかり頂けると思いますが、戦国の名将「武田信玄」とその後継者「武田勝頼」を描いたモノです。
ただ、前作よりも、かなり色濃く、私自身の体験が出ている作品だと言えます。
そして、哀しいかな、これは、私だけの特異な体験ではなく、これが、日本の中小企業(あるいは、松下幸之助などを見ていると、大企業でさえも・・・。)で起きていることの現実だとも言えるような気がします。
中内功、藤田田、水島広雄、和田一夫・・・etc、昨日の名将が今日も名将であるとは限らないんです。
その意味で、おそらく、500年前の武田家の実態も「当たらずといえども遠からず・・・」だったのではないかと思っています。
過去のカリスマがかえって仇を無し、迷走さえも深謀遠慮に映る・・・。

「ボケた毛沢東ほど始末の悪いモノはない。」
これが、私が身を以て体験したことの結論です。

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by heitaroh | 2005-12-30 20:24 | 私小説 | Trackback(6) | Comments(5)

樋口一葉 命日に見る多忙への処世術。
親愛なるアッティクスへ

実は私、今、大変、多忙にしてまして・・・。

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にも関わらず、昨日はこの忙しい中、耶馬渓紅葉狩りなんぞに出かけてしまいまして・・・。
ちなみに、耶馬渓というのは全国的に知られた大分県のる奇勝で、私が大好きなところです。
できれば、老後はここに住みたいな・・・と。
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で、唐突ですが、明日、11月23日は明治の女流作家、樋口一葉命日だそうですので、ちょっとこれでごまかします(笑)。

ちょっと行かない間に、近所に新しいラーメンやさんが2軒出来ていたので、ちょっと行ったところ、これがちょっとではなく、余りにもまずい!まずい!
私なんぞは、食い物を残すと親に死ぬほど殴られた世代ですから、滅多に食い物残すことはないのですが、久々に食えない(((@@)))という感じでだけは残しました(笑)。
で、お口直しにもう一軒の方に行ったところ、これがまた、こちらもゲロゲロ
でも、さすがにラーメン二杯餃子ご飯食ったら、腹パンパンですよ。

昔、樋口一葉がに遊郭のそばを通りかかったら、老婆冷たい水で拭き掃除をやっていたそうで、「ツライねー、ツライねー」を連発していたので、それを見た一葉が「お水がですか?」と聞いたら、その婆さんがじろっと見て、吐き捨てるように一言、「バカだね、この子は。世間だよ。」と言ったそうです。
それで、ハッとした一葉が文字通り一皮むけて「にごりえ」「たけくらべ」などの名作を世に残したそうです。
「つらいねー。つらいねー。」
世間がですか?」
「バカだねー、この子は・・・・・。お腹だよ。」(笑)。
あー、本当に苦しい・・・。

お粗末!

P.S そういえば、うちの祖父の旧姓は「樋口」でした。
関係ないですね・・・、はい(笑)。
                                   平太独白
by heitaroh | 2005-11-22 17:14 | 私小説 | Trackback | Comments(0)

お笑い下されたく候・・・
顧みれば、いたずらに馬齢を重ねるのみにて恥多き人生、慚愧に堪えず。
戯れに、一詩参らせ給い候。
お笑い下されたく候。

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のんべんだらりと生きてきた
ぎゅーっと 凝縮されてない
のんべんだらりと生きてきた

明日いくさで死ぬかもしれぬ
のんべんだらりと生きられぬ
のんべんだらりと生きられぬ

するべき事をせず
なすべき事を為さず

のんべんだらりと生きてきた
いたずらに馬齢を重ね幾星霜
のんべんだらりと生きてきた

起きて飲んで食って寝ただけ
のんべんだらりと生きただけ
のんべんだらりと生きただけ

千載一遇 勇はなく
乾坤一擲 覇気もなし

のんべんだらりと生きてきた
ただただ世に在りしのみにて
のんべんだらりと生きてきた

目の前の うつつを言い訳に
のんべんだらりと生きている
のんべんだらりと生きている

少年の日の 青空は高く
夏草は無限の未来を誘う
想いは遠く もはや還らず
 
いつのまにやら視線は下がり
志とやらは どこへやら
時流に流され どこへやら

のんべんだらりと生きてきた
のんべんだらりと生きてきた

           by 平太郎
                                  平太独白

by heitaroh | 2005-07-28 17:33 | 私小説 | Trackback(1) | Comments(2)

私小説「昭和33年の10円玉、父、そして、平和台球場・・・」

以前、福岡ドームの帰り、勝利の雄叫びと共に、焼酎片手に焼鳥屋で猛烈な勢いで書いたものです・・・。
ご照覧ください(笑)。

***********************

その日、確かに私は疲れていた。
仕事もうまくいってなかったし、妻ともしっくりいってなかった。
帰宅すると、子供の寝顔を見るのもそこそこに、すぐにパソコンに向かった。
ここ何日も、そういう日が続いている。

不意に、私は顔が水面に浸かるのを感じた。
(あ!、また風呂の中で寝てしまったか・・・。)
最近では、珍しくない事だった。
だが、目を開けた私の前には、先ほどまでと変わらぬパソコンの画面があった。
電源が落ちてしまったか、画面は真っ暗だった。
「???」
(寝たのか・・・。それにしても、今の感触は何だったんだ・・・。)
そう思い、ふと画面に触れてみた・・・。
すると、画面が水面(みなも)のようにぴとっと手のひらに吸い付いた。
瞬間、そのおかしな感触に驚いたものの、そんなバカなと気を取り直し、再び、手のひらを画面の中へと沈ませてみた。
すると、チャポンという音と共に、ずぶずぶっと、手が中に入ってしまった・・・。
(どうなってるんだ・・・。俺は疲れているのか・・・。)
次の瞬間、画面の向こうで誰かが私の手をグッと握った。
暖かく、大きな手だった。その手は、もの凄い力で私を画面の中に引きずり込んだ。
抵抗も何も、あ!っと言う間もない出来事だった。
視界が真っ黒になり、頭は真っ白になった・・・。

やがて、「早く座らんか!」という声が聞こえ、私は我に返った。
低い声だった。
(あ、オヤジ!)
そこには、数年前に死んだはずの父が座っていた。
「他のお客さんの迷惑になるだろうが!」
再び、父の叱責がとんだ。
辺りを見渡すと、そこは野球場だった。
だが、今ハヤリのドーム球場などとは似ても似つかぬ殺風景な球場で、座椅子などは板が張り付けてあるだけの背もたれもないものだった。
観客も皆、痩せこけて、それでいて、異様に目がぎらついた男たちばかりだった。
その中に、父も見事にとけ込んでいる。
痩せていて決して血色が良いとは言えない風貌であり、さらに、肌寒さを感じさせる空気の中、袖から出た父の腕は土色で至る所に染みがあり、そこへ、太い血管が巻き付いている姿は蔦蔓(つたかずら)に絡まれた枯れかけの樹木のようであった。

慌てて、私は父の横に腰を下ろすと、まじまじと父の横顔を凝視した。
生前は口うるさいだけの父で、父子仲もあまりいいとは言えなかった父であった。
その父は、晩年の風貌ではなく、まだ、三十代くらいであったろうか。
父はそんな私の視線になど、構うことなく、前を向いてグランドを眺めて続けていた。
「長島だ。」
父が不意に口を開いた。
「は?」
父はあごでグランドを指した。
私もそれにつられるように、グランドに視線を落としたとき、「3番、サード、長島・・・。背番号3。」というコールが聞こえた。
「あれが、巨人の新人、長島だ。」
父はぶっきらぼうにそう言った。
そこには、若々しい長嶋茂雄がいた。
私は思わず、興奮した。
子供なんだから、興奮していいんだとわけのわからない理屈で納得していた。
「お父さん!お父さん!長島はね、長嶋は凄いバッターなんだよ!」
父を「お父さん」などと呼んだ記憶は絶えてこの方なかったが、思わず、「お父さん!」を連呼してしまった。
「心配いらん。稲尾は絶対に負けん。長島のような新人とは背負ってるものが違う・・・。」
父はそういうと、そのまま、グランドを睨み付けるように凝視し続けていた。
(いなお・・・?)
スコアボードに目をやると、そこには、手書きの文字で巨人と「西鉄」と書いてあった。
(西鉄・・・って、西鉄ライオンズかよ!てことは、ピッチャーは伝説の名投手、鉄腕・稲尾和久か!)

マウンドの稲尾は誰が見てもわかるくらいに、疲労困憊していた。
肩で息をしている。
ここで、長島である。
父の足下には、何本も、もみ消したタバコが落ちていた。
稲尾は振りかぶって、渾身の一球を投げ込んだ。
魂がこもっているのが、素人目にもわかった。
長島の打球は「カッ!」という乾いた音を残して、宙に舞った。
ピッチャーフライだった。
父に限らず、満員の観衆の呼吸が一瞬、ひとつになった。
直後、歓声ともため息ともつかぬ、異様などよめきが起こり、ボールは、すっぽりと稲尾のグラブにおさまった。

気が付いたら、父と二人で球場の外にいた。
ここはどこなの?というくらい、辺りに明かりはなかった。
横をチンチン電車がガーっという音と共に走り抜けていった。
「お父さん、電車で帰らないの?」
私がそういうと、父は少し、口をゆがめて、ポケットの中から10円玉を一枚取り出した。
「券買ったからな・・・。もう、これだけしか残ってない。歩いて帰るしかなかろう。」
二人はトボトボと真っ暗な道を歩いた。
少し先に街の明かりが見えた。
よく見ると、歩いている道は土の道で、至る所にくぼみがあり、雨が降ったのだろうか、水たまりができていた。
私たちの横を、これ見よがしにチンチン電車が再び、ガーっという音と共に通り過ぎた。
不意に、私は涙がこみ上げてきた。
(お父さん!)
そう、声に出そうとした刹那、父が口を開いた。
「おまえ、自分に恥ずかしくない生き方をしとるか・・・。」
私は「うん」と答えるのだけが精一杯だった。
「それならいい。」
私はもう、声にならなかった。
少し無言で歩いた後、また、父が口を開いた。
「人はどうでもいい。おまえが、自分に恥ずかしくない生き方をしとるのなら、それでいい。」
私はただただ、かぶりを振るのみであった。

顔を上げた私の前には、パソコンの画面があった。
画面には、スクリーンセーバーが無感動に動いていた。
そのとき、後ろで声がした。
「コーヒーでも飲む?」
妻だった。
久々に聞くような優しい声だった。
私は少し考えて、「いや、ビールをくれ。」と言って、笑って、大きく背伸びをした。
笑ったなんて、いつ以来だったろう・・・。
妻は少し口をとがらせて微笑むと、奥へ消えた。
缶ビールのプシュっという音を聞きながら、私はたばこを手に取ると、ライターを出そうとズボンのポケットをまさぐった。
ポケットには、ライターはなく、代わりに10円玉が一枚出てきた。
(まさか・・・。)と思って年号を見ると、昭和33年と書いてある。
長島が入団した年で、西鉄が日本シリーズで奇跡の逆転優勝をした年である。
(よく考えたら、昭和33年なんて、オヤジと試合見に行ったどころか、俺はまだ、生まれてもないじゃねーか・・・。)
私は思わず、苦笑すると共に、思わず、涙がこぼれ落ちた。
(父さん・・・。)

*************************

あ、これ、「空想もので」という条件でしたので、モデルは特にありません。
くれぐれも、私ではありませんから(笑)。
あしからず・・・。
                                 平太独白
by heitaroh | 2005-06-25 18:13 | 私小説 | Trackback | Comments(2)

空想 妄想 瞑想に迷走・・・
よくわからないまま、ちょっと、書いてみてくれと言われたので作ってみました。
PCを使った空想ものが対象だそうです。
覆水盆に返らず(笑)。

*************
ある日、パソコンのスイッチを入れると、画面の中にサエナイ坊主頭の子供が居た。
「何だ、おまえ、どこから来やがった。」
そういうと、その子供は少し口を尖らせて、
「おまえだよ。」という。
「何だ、俺か。」
こともなげにそう言って、「で、何の用だ。」と続けた。
「お前がどうしてるかと思って、見に来たんだよ。」
「どうもしてねーよ。おまえのままだよ。」
「おいおい、冗談だろ!ちったあ、これから、おまえになるこっちの身にもなれよ!」
「おまえに言われたくはねーよ。いいから、どけよ。今から、メール見るんだからよ。」
そういうと、無造作にマウスを動かした。
「あ、この野郎!」
メールソフトの画面が立ち上がると、そいつはその陰に隠れて、声しか聞こえなくなった。
「おい、俺の時から、30年も経ったんだぞ!おまえのそんな姿と現実を見せつけられる俺の身にもなれよ!」
「うるせーな。少し、静かにしろよ!折角、大事なメールが来てるんだから・・・。」
「おい!俺より大事なのかよ!」
「あたりめーだろ!あっち行けよ!」
「あったま来たぜ!」
子供はそういうと、画面の上の隙間から指だけ出して、Xを押した。
たちまち、メールソフトは姿を消し、その子供が現れた。
「あ!何すんだ、このガキ!折角、今、テレクラでしりあったおねーちゃんと・・・。」
「おまえ、そんなことやってんの?」
「あ、いや、それは・・・。って、関係ねーじゃねーか!」
「関係無いわけ無いだろう!」
「大体、おまえは何なんだよ!」
「おまえだよ。」
「・・・。」

今度は、子供の方から切り出した。
「で、何やってんの?」
「は?」
「仕事だよ、仕事!」
「べ、別に、普通に・・・。」
「普通に何だよ。まさか、普通にサラリーマンやってますなんか言うんじゃないだろうな・・・。俺たちの時代なら、サラリーマンが普通だったけど、今はそればっかりじゃなねーって事くらいしってるんだからな。当然、『フリーのライターやってます』くらい言うんだよなー。」
「・・・。」
「普通のサラリーマンかい!」
「悪いのかよ!」
「別に・・・。幼稚園の時の夢は「博士」で、小学校の時の夢が「プロ野球選手」だったんだろ。で、中学生のときが・・・。」
「いーじゃねーか!俺の生活に干渉すんなよ!おめーだって、心の中では、そんなもんになれねーってことくらいわかってたじゃねーか。」
「ま、それもそうだな。」
子供は一転、画面の中で肩をすくめると、そのまま、続けた。

「で、どうよ。」
「何が・・・?」
「会社よ。いってんだろ?いい年なんだから、課長くらいやってんでしょ。」
「係長だよ!・・・って、おまえに言われたくねーよ。」
子供はちょっと、後ずさりすると、そこへ腰を下ろし、そのまま、寝そべると、片手で頭につっかえ棒した姿勢で話を続けた。

「で、どうよ。」
「だから、係長だって言ってんじゃねーか。」
「違うよ。会社の中での立場はどうだって、言ってんだよ。」
「・・・。」
「さえねーみてーだな。で、結婚は?してるんだよな?」
「・・・。」
「してねーのかよ!いい年こいて・・・。」
「したよ!・・・、っつうか、してたよ・・・。」
「別れたのか!」
「何で、おまえにそこまで言われなきゃならねーんだ!」
「おまえだからだよ。」
「・・・。」

また、しばらく、間があって、今度はこちらから切り出した。
「もう、いいだろう。こっちは、今から、明日のデータ作らなきゃならねーんだからよ、もう、どけよ。」
子供は、ゆっくりと起きあがった。
「そうだな。おめーにはおめーの今の生活があるしな。」
「だから、おっさんみてーなこと言うんじゃねーよ。大体、おまえは何なんだよ!」
「おまえだよ。」
「・・・。」

そういうと、子供はくるっと、きびすを返して歩き始めた。
でも、俺にはわかっていた。
こいつは、立ち止まって何か言うと。すんなり帰らないんだと。
だって、俺がいつも、そうしていたから。
子供は、足を止めると、そのままの姿勢で振り返らずに、「ああそうそう、ひとつだけ、聞いておきたかったことがあったんだ・・・。」
(いつも、殴られてばかりいた親父のことか・・・。俺もちったあ、可愛いところがあるよな・・・。)
そう思っていると、子供は、
「1999年に人類は滅亡したのか?」と聞いてきた。
(ノストラダムスの大予言かい!・・・。)
思わず突っ込みそうになったが、それを抑え、
「してねーよ。な〜んにも無かったよ。」となぜか、優しい口調で言った。
「本当にしてねーのか?」
「ああ、してねーよ。」
「そうか・・・。おまえらは、1999年におだぶつになってしまってるのに、それに気づいていないだけじゃないのか?」
それだけ言うと、こちらの返事を聞くことなく、子供は画面の中に消えていった。
「おい、また、来いよ。」
そう呟くと、遠くから、
「もう、来ねーよ。」と微かに聞こえた。

子供がいなくなってから、しばらく、私は真っ暗な画面を眺めていた。
スクリーンセーバーが動き始めた。
「1999年に人類は滅亡していて・・・、気づいてないだけか・・・。」
画面から目をそらすと、「かもな。」とだけ呟いていた・・・。
*************

あー、あくまで、空想物ですから・・・。
モデルは私ではありませんよ(笑)。
サラリーマンじゃないですしw。
     ・・・・・・平太独白

by heitaroh | 2005-06-24 18:12 | 私小説 | Trackback(1) | Comments(2)


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。
S M T W T F S
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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光を当てられていない人に..
by sakanoueno-kumo at 15:14
>sakanoueno..
by heitaroh at 11:09
あけましておめでとうござ..
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>Mさん  そうだ..
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壊れた時計が動く理由もネ..
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> sakanoueno..
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