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直江兼続が関与したのか御舘の乱の判断の是非
親愛なるアッティクスへ

今年のNHK大河ドラマ上杉景勝の股肱の臣・直江兼続新潟県は盛り上がっているようですね。
一昨年が武田信玄の股肱の臣・山本勘助でしたから、何だか、バランス人事的な感じもしないでもないですが(笑)。
その直江兼続ですが、最近の大河ドラマは必要以上に「良い人」なってしまう傾向があるようで、彼が兜の前立にあしらったと言われる「愛」という字についても、現代人はすぐに愛情「愛」を連想しがちですが、実際には、上杉謙信「毘沙門天」「毘」を旗印にしていたように、こちらも信仰対象である「愛染明王」「愛宕権現」の「愛」だったようですね。
ただ、彼の智謀が主君上杉景勝を導いたということは否定しようがない事実なのでしょうが、私にはその中でどうしても首を傾げる判断があります。

まず、武田信玄上杉謙信、好敵手として史上名高いこの二人は、同時に、この時代の有力武将には珍しく最後まで家督を譲ろうとはせず、現職のまま没した人物です。
ただ、信玄とは対照的に、謙信は生涯妻帯もしなかったことから、当然のように実子がなく、養子として実甥の景勝を迎えていたものの北条氏康の八男を人質に迎えた際に、これにかつての自分の名乗りである景虎という名を与え、人質としてではなく、養子としてしまったことから話がややこしくなっていきます。
景虎にすれば感無量のものがあったでしょうが、すでに後継予定者となっていた景勝からしてみたら、「叔父さんは何てことをするんだ!」と思ったでしょう。
その結果、謙信が没した直後から、当然のように「御館の乱」と呼ばれる養子間の内乱が勃発しますが、ただ、この時点で兼続は数えの19歳
微妙なところですが、2年後にはもう重用されていたということを考えれば、このときも、景勝から何らかの諮問はあったと考えて良いのではないでしょうか。
その上で、私が首を傾げるのは、景勝が上杉家の家督を相続することを優先し、大敵、織田信長の存在を後回しにしたことです。

当然、機を見るに敏な信長がこの好機を見逃すはずもなく、内乱が長期化する間に領土は瞬く間に侵食され、終結したときには、わずかに一国半となってしまい、その結果、武田家が滅びると、織田の鋭鋒は勢いそのままに、四方八方から上杉領へなだれ込み、上杉家は滅亡の瀬戸際に立たされます。
このとき、上杉家が滅亡しなかったのは、信長が本能寺の変にて横死したからに過ぎず、単に運が良かったというに過ぎません。
そこら辺を考えれば、両者は内紛など引き起こすことなく、理性を持って、一致協力して大敵信長に当たるべきではなかったでしょうか。
景虎が家督を継ぐと、北条家の傘下に組み込まれてしまうという危機感があったのかもしれませんが、景虎からすれば、自分を捨て殺し同然に人質に出した実家に対して、安穏と実家の下風に置かれることを良しとしたとは思えず、できるだけ実家の援助は受けたくなかったというのが本音だったでしょう。
であれば、二人に妥協点はあったように思えますし、何より、本来、強敵に対しては呉越同舟で一致結束しやすいものなんですけどね。 
                                         平太独白
by heitaroh | 2009-03-09 19:17 | 歴史 | Trackback | Comments(4)
Commented by 芙蓉 at 2009-03-09 20:09 x
いよいよ、WBC東京ラウンド決勝戦が始まりましたね。
先日の試合後、イチロー選手の、「察してよっ♪」には、
あまりにお茶目で笑っちゃいましたが、目は、いかにも、サムライでした。
でも、いい意味での年齢(輪)を感じました。
数年前なら、決してあのようなセリフ、吐かなかったのでは..なんて思ったりもして。これで、女性ファンも急増したことでしょう(^_-)-☆

>最近の大河ドラマは必要以上に「良い人」なってしまう傾向

嗚呼、確かに仰るとおりですね。脚本家も、
時代、世相を反映してか、義とか愛とかを前面に出して、
温かいムード作り、興味をひきつけ、何かを学び取ってほしい♪
そんな意向もあるのかもしれませんね。
しかし、個人的には今回の天地人は、なぜか心奪われなくて(^^ゞ(笑)

食うか食われるかの戦国時代、
兄や弟を蹴落として家督をつぐ非情さは日常茶飯事だったのでしょうが、この直江兼続という知将、単なるいい人ではなく、
自己顕示欲のかなり強い武将だったのかも..。そして非情さも?
いい人だけでは、この戦国の世、乗り切っていけませんものね..。
興味深いエントリー、楽しく拝見しました♪。
Commented by heitaroh at 2009-03-10 12:08
<芙蓉さん

WBCは1点取られた時点で負けたと思いましたね。
あれが韓国の勝ちパターンですから・・・(涙)。
でも、もうアメリカに行っちゃってるのには驚きました。

NHKは本来、視聴者に媚びないのがNHKのNHKたる所以なのでしょうが、最近では視聴者と地元に対して媚びまくりですよ。
登場人物なども出演者の評判が良かったら、平気で長生きしたりするそうですから(笑)。

直江に関しては、本当はまだまだ言いたいことがあったのですが、紙幅(?)の関係で随分、カットしてしまいました。
ちなみに、原作は私は読んでませんが、人間くさい人では地元の観光に影響するから、クレームが付くのかもしれませんね(笑)。
本当は貴稿にTBしておこうと思っていたのですが、しっかり、日韓戦が気になってしまい忘れていたら、先を越されてしまいました(笑)。


Commented by sakanoueno-kumo at 2009-10-13 17:05
自国の危機よりも政権争い。気がつけば国力は低下。平成の今も変わりません。
Commented by heitaroh at 2009-10-14 17:24
< sakanoueno-kumoさん

これって、人間の業なのでしょうね。
インドがイギリスの植民地になったのもむしろ、インド人の方から、どうぞ・・・みたいな側面があったらしいですよ。
<< WBCに見る「もっと右を!」の... WBC初戦突破!ついては三原脩... >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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