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酒は飲め飲め飲むならばの茶なら十日が酒なら三日の理
  「酒は呑め呑め呑むならば 日乃本一のこの槍を
     呑み獲るほどに 呑むならば これぞまことの黒田武士」


これって、何の文句かわかりますか?

酒は飲め飲め飲むならばの茶なら十日が酒なら三日の理_e0027240_14205621.jpg黒田節という、大昔に流行った歌だそうですが、末尾に黒田武士とあるように、(「節」と「武士」とを掛けたわけですね。)江戸時代、筑前福岡藩黒田家に由来する歌なのですが、私が子供の頃までは、福岡では酒席などでは、よく耳にした歌なんですよ。
でも、最近では本当に耳にすることはなくなりましたし、おそらく若い人は知らないでしょう。
コミュニティでの宴会が崩壊している現状を嘆くばかりですが、黒田家がまだ福岡に来る前の話・・・です。

時の当主、黒田長政の家臣で母里太兵衛という人が、酒癖の悪いことで知られる福島正則の邸に使いしたところ、太兵衛が家中でも知られた酒豪であったことから、正則は大杯に並々と酒を注ぎ、「これを飲め」と執拗に勧め、固辞すると、なおも絡んできて、ついには、「飲み干したら、何でも好きな物をやるぞ!」と言いだしたことで、ついに、太兵衛は腹を決め、「それでは」と言って、そのまま、一気にその大杯を飲み干すと、正則が主君・豊臣秀吉から拝領した名槍「日本号」を所望した・・・と。
「あ、これだけは!」と言って蒼くなる正則に対し、「武士に二言はござるまい!」と言って、そのまま、持って帰ってきてしまった・・・という実話に由来するものです。

ところで、昔、プロ野球の広島東洋カープの監督に就任した方が、「選手にとって酒というのは身体能力の低下に繋がり、プレイの妨げになる」として選手に禁酒令を出したことがあったそうです。
いわゆる、管理野球の先駆けみたいなものだったでしょうか。
その時、それを聞いた当時のオーナーが、「君ね、そう言うけど、『酒で三日、茶なら十日』というように、お茶だと10日かかるところが酒だと3日で仲良くなれるんだよ」と言い、結局、その監督は禁酒令を取りやめたといいます。

この点は、私も思い当たるところがありますね。
同じ組織の一員とはいえ、全国から集まった初対面の人たちと、マジメな昼間の会議だけで意思疎通が出来るものでもありませんよ。
会議とは、とかく、「何を言ったかではなく、誰が言ったか」が問題になるものですから。
昼間、いて好かない奴と思っていたのが、夜の会で話してみると意外に良い奴だったりで・・・、同じ事は、軍隊にも言えたようで、私が敬愛する元帝国陸軍参謀にして、兵法評論家であった故・大橋武夫氏も、その著書の中で、「旧日本帝国陸軍では、昼間、軍事演習があるときは、夜は慰労と称して宴会があったが、実はこれが意外に大事だった。ここで、バカ騒ぎをして、懇親を深めると、戦闘中などに援軍を要請した際に、普段なら、『今、こちらにもそんな余裕はない!』と言われるところを、『おぉ、あのときの貴様かぁ、こちらにも余裕はないんだが・・・、仕方ない』ということになる」・・・ということを述べておられました。

これは、理想としては、こういう緊迫した場面で私情を差し挟むべきではないのでしょうが、やはり、そこは人情でしょう。
確かに、良い悪いではなく、これが人間という感情を持った生き物の現実であり、業務を円滑に進める上ではやむを得ないことなのかな・・・とも思いますが、如何でしょうか、御同輩。                                          平太独白
by heitaroh | 2008-10-10 17:15 | 歴史 | Trackback | Comments(8)
Commented by ねこママ at 2008-10-11 10:22 x
♪日の本一のこの槍「で」♪
でなく「を」だったように記憶しています。
槍でもって、どうやって酒を飲むのかわからない。(^▽^;)

>業務を円滑に進める上ではやむを得ないことなのかな・・・とも思いますが、如何でしょうか、

良し悪しですよね。
良い場合もあれば悪い場合もあり。
飲む人の行動次第で結果がどっちに転ぶかわからないので、やむを得ないともなんとも言えないし。
酒とは難しいものであります。
Commented by mohariza6 at 2008-10-11 13:42
堅苦しい会議等昼間の業務では出ない側面が、オープンな酒の場では、その人の人柄(別の面:本音に近い部分)が出てきて、コミュニケーションが深まるのだと思います。

但し、上司が入り、まだ、その威光を固持し続ける酒は、勘弁して欲しいと思います。そんな酒は飲みたくありません。

結局、酒の場では、その人の人柄が出、その宴で、フランクで、上手くコミュニケーションが取れるか?どうか、が一番で、それが出来ない人は、それだけの人と分かるのだと思います。
Commented by へいたらう at 2008-10-11 18:23 x
<ねこママ さん

でじゃなくをですかね。
今日、黒田節の本を買ってきましたので、よく検討しておきますが、先に訂正してお詫びしておきます。

まあ、色々な人がいますからね。
酒はきちOい水などという人もいますし。

そういえば、最近は飲んで怒鳴り込んでくる人を見かけなくなりましたね。
Commented by heitaroh at 2008-10-11 18:27
< mohariza6さん

上司ばかりでなく、絡む奴、泣く奴、怒る奴・・・も困りますよ。

酒は楽しく飲まなくては・・・。

まあ、みんなわかってるんでしょうけどね。
Commented by ねこママ at 2008-10-11 19:17 x
>最近は飲んで怒鳴り込んでくる人を見かけなくなりましたね。

現在過去未来、いずれも見たことがないですわよ。
福岡はそんなに多かったんですか。
道理で、何か事件が起きるとmその場所は大阪だったり福岡だったり福岡だったり福岡だったり(意図的にリフレイン(^^))すると思った。笑
Commented by へいたらう at 2008-10-12 12:43 x
<ねこママさん

まあ、育った環境的にそういう人が多い世界だったということはあったでしょうね。
でも、昔は本当にそういう人、ちょこちょこいましたよ。
怒鳴り込まないまでも、夜中に訪ねてきて玄関先でぐだ巻く職人・・・とか。
でも、最近は本当にそういう人、見かけなくなりました。

ちなみに、福岡は犯罪発生率は今でも確か日本一のはずです。
Commented by もっちゃん at 2008-10-13 17:18 x
福岡市博物館に母里太兵衛所縁の「名槍日本号」を見に出掛けました。
何処かで小耳に挟み、気に掛かっていたある事も確かめたかったので台風15号を突いて九州方面へ…

母里:もりと名乗る。母里:ぼりとも名乗ったことがある? そして極め付けは母里ではなく「毛利太兵衛」と名乗り、菩提寺にもその名で表記されていると…

急に親しみを感じた次第です
Commented by heitaroh at 2008-10-14 11:19
< もっちゃん さん

台風15号ということは、少し前でしょうか。
私も先週末、行ってきましたよ。
と言っても、以前から、何度か見たことはあったんですけどね。

ちなみに、母里が毛利となったのは、将軍にお目見えしたときに、将軍が「もり」と聞いて、毛利と間違えてしまったことから、将軍に間違いを指摘するわけにもいかない・・・ということで、以来、毛利を名乗るようになったのだとか。
従って、江戸時代はずっと毛利で明治になってから、もとの、母里に戻したらしいですよ。
正式な読み方は、「ぼり」というのが正しいのだそうですが、博多では一般にもりで通ってますが。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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