幻の映画「ナポレオン」にフランス貴族の粋な死に様を見た
親愛なるアッティクスへ

昭和57年(1982年)・・・、この年、巨匠アベル・ガンス映画草創期に制作した「ナポレオン」という幻の無声映画が発見されたとかで、それをコッポラだったかの親父の指揮の下、オーケストラで彩りを添え、上映しようという試みがありました。
で、当時、一般の書店では信長・秀吉・家康などについての本は腐るほどあるのに、ナポレオンチンギスハン、カエサルといった世界的な英雄に関する本は殆どなかったこともあり、私は映画そのものよりも、ナポレオンそのものについて知りたいという欲求を押さえきれず、何としてもこの映画を見るべく、一人で前売り券を買って(サミシー!!)見に行きました。
それが、先日、ケーブルテレビでやっていたので四半世紀ぶりに見たのですが、内容自体への寸評はまたの機会に譲るとして、この、見た映画の中で印象に残ったシーンがありました。

ご承知の通り、フランス革命狂騒のさなか、多くの人が断頭台・・・、つまり、ギロチンに送られたわけですが(毎日、300人が殺されたといいます。)、その場面は、それら囚われた上流階級の人々が、処刑の呼び出しを受けるまで待機しする一室でのシーンでした。

刑務官から名前を読み上げられた人たちは、そのまま、刑場に引き出されていく・・・。
その先に待っているのは、言うまでもなく「死」・・・。
次から次へ名前を読み上げられていく人々・・・。
そして、刑務官が、「ボーアルネ!」と呼み上げだとき、一人の女性が悲鳴を上げる。
この女性こそ、後に、ナポレオンの妻となるジョセフィーヌその人であり、「ボーアルネ」というのは彼女の離婚した夫の姓であり、彼女はボーアルネという名前で、ここへ収容されていたのである・・・と。

すると、そこには、たまたま、同じ名前で、別れた夫の「ボーアルネ子爵」も収容されており、「ボーアルネ」が二人になったことで、刑務官は、「二人も首は必要ない。どちらか話し合って決めろ!」と無造作に告げます。
「あなた・・・どうする・・・?」というジョセフィーヌの辛うじて聞き取れるようなかすれた声・・。
無声映画なんですけどね(笑)。)

元夫である子爵が何と言うか・・・。
ラブラブ・カップルならともかく、別れた、それでなくとも浮気性の強い元嫁である・・・。
泥試合になるのか・・・と思っていると、子爵は胸を張ってこう言う。
 「優先権は私が頂きたい!」
そして、元妻に近づき、その手に口づけをすると、「子供たちによろしく」と言い残し、悠然刑場に去る・・・と。

本当の話かどうかは知りませんが、ま、フランス貴族「粋な死に様」ってのを見せつけられたような気がしましたね・・・。
                       平太独白
by heitaroh | 2008-05-12 08:32 | 文学芸術 | Trackback(2) | Comments(6)
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Tracked from 好都合な虚構 at 2008-05-13 13:15
タイトル : 『暴走老人!』               
このところ「暴走老人!」(藤原智美、文藝春秋社)をポツポツ読んでいます。 「思い付いたこと、目に付いたことを書き付けただけ」という書評が記憶にありますが、こんな本はそれでいいんじゃないかと思います。題材が題材ですしね。 とは言え、  分別があってしかるべきとされる老人が、ときに不可解な行動で周囲と摩擦を起こす。あるいは暴力的行動に走る。こうした高齢者を、私はひとまず「新老人」と呼ぶ。 ってのには引っ掛かります。開業から44年経ってもいまだに「新幹線」「新大阪」、というのを思い起こし...... more
Tracked from 好都合な虚構 at 2008-05-22 16:06
タイトル : 『暴走老人! 』ー 2        
大学の同級生に、まさに「幼児レベルのジコチュ-老人」がいます。学業はまずまず優秀な方でした。サラリーマンとしてもそこそこ出世しました。 2001年10月、つまりアメリカ同時多発テロの直後、彼はアメリカに出張しました。時期が時期だけに入国手続きは厳重を極めました。いきなり顔写真を撮られ、指紋押捺を命じられました。そこで彼は抵抗して大立ち回りを演じ、留置場に一泊する羽目になりました。 帰国後、クラスメートが集まった席でこの事件を報告し、「他のヤツらはともかく、おれに対して実に無礼だ。許せん」と吠え...... more
Commented by D-KID at 2008-05-12 23:10 x
なんでそんなにカッコエエ事を口に出来るんですかっ!(笑)

武士道精神と騎士道精神は相通ずると言いますが。
Commented by kaori_matsuo at 2008-05-13 08:03
お久しぶりです。

かっこいいですね…。「子供達によろしく」の台詞にどれだけのものが込
められているのか、と思うと、見たくなってまいりました。

実はフランス映画とか無声映画を見ると途中で眠ってしまうような人間なので、非常に心配…でもありますが(==;)
Commented by silku928 at 2008-05-13 09:04
おはようございます、平太郎様。

>「優先権は私が頂きたい!」
嗚呼、この極上のセリフ、☆五つ!でしょう。

そして、このセリフを、
この場で彼に吐かせた”ジョセフィーヌ”の素晴らしさにも、
女性として、感嘆♪。
朝から、目が覚めました...(^^♪。
Commented by heitaroh at 2008-05-13 11:08
<D-KID さん

まあ、実際はどうだかわかりませんけどね。

でも、こういうことが言えるから、本来、貴族なんだよな・・・と。
Commented by heitaroh at 2008-05-13 11:11
< kaori_matsuoさん

たぶん、間違いなく眠ってしまわれると思います(笑)。

映画自体は、当時としては、かなり、革新的・・・というよりも、冒険的な撮影技法を試みた、映画草創期の作品ですから、そういう意味では見所はあるのですが、フランス革命を描いた作品だけに、その辺の歴史的背景がわからないと、退屈かもしれませんね。
Commented by heitaroh at 2008-05-13 11:17
<silku928さん

ジョセフィーヌのすばらしさ・・・。

ただ、ジョセフィーヌという人はかなり、貞操観念などというものとは縁遠い奔放な女性だったようですよ。
まあ、その辺は、彼女に限らず、当時のフランスの上流階級全体にいえることでしょうけどね。

子爵がこのセリフを吐いた背景には、やはり、ジョセフィーヌへの思いやりと言うよりも、子供たちを想う気持ちが強かったのだと思います。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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