豊田式「物は考え方」
親愛なるアッティクスへ

e0027240_1162183.jpg今年のこどもの日には、久しぶりに菖蒲湯に入りました。

私が子供の頃は、毎年、端午の節句にはこれに入るものだと決まっていたんですが、核家族化マンション暮らしが進んだ現在では、なかなか、お目にかかれない風物詩となってしまいましたね。

おかげで、私もどうやって入っていたか忘れてましたよ・・・。

ところで、先日、この冬、使い残した灯油を子供に片づけさせようとしたところ、「えー、重いー」、「何で俺が・・・」などと申します。
で、先日、読み終えた、元西鉄ライオンズの名遊撃手・豊田泰光氏の「豊田泰光のチェンジアップ人生論」という本の中の一節について懇々と語ってやりました。

その部分は、豊田氏の新人時代の話なのですが、抜粋しますと、
レギュラーといっても一年生荷物運び要員でもあった。運ぶのは自分の荷物だけではない。私の担当は三原監督のユニホーム、大下弘さんのバットにチームの練習用の球。いつも宿舎の浴衣の帯を失敬し、ゆわえつけて運んだ。
 ある遠征での話。大阪駅で降りるとバットなどが詰まったバッグの山を残し、先輩たちは街に繰り出して行った。運ぶのは新人で一軍入りしていた私と河村英文、西村貞朗同期三人組だった。
 計二十個ほどのバッグは手分けしても担げるものではなく、ひもでくくって階段を引き。ガチャつと何か割れる音がすれば、それはトニックだったりした。
 だが、いちいち割れ物を気遣う余裕などない。扱いはどんどん乱暴になった。駅の階段をすべり落ちた荷物が、通行中のお坊さん直撃しそうになったことがあった。慌てて駆け寄り「西鉄ライオンズのものですが、なにせこの状態で」と謝ると、僧は怒りもせず「豊田君、これを楽しくする方法はないものかのう」と言って去ってしまった。
 先輩たちがタクシー代ぐらい出してくれるならまだしも、タダ働きで楽しくなるわけがない。揚げ句に瓶が割れたと犯人探しをされる。大汗をかいたら今度は冷や汗だ。ところが、この苦行が苦行でなくなった。
 そのときの大阪の試合は雨で流れ、所在なく過ごした。昔は屋内の練習施設も貧弱で、雨だとやることがない。体もすっかりなまって次は東京へ、という日にひらめいた。「そうだ、これこそいいトレーニングじゃないか」
 河村と西村もぴんと来たらしく、我々は先輩の荷物を奪い合うようにして運んだ。体を均等に鍛えるために左右で持ち替えるなど工夫した。
 すると先輩の態度も変わり、「ご苦労さん」タクシー代をくれるようになった』・・・と。

つまり、人間、嫌々やらされるのと、必要に迫られて覚えようとするのとでは同じ事をやっても取り組み方がまるで違ってくる・・・ということでしょうか。
そして、「嫌々やっているうち」は荷物の扱いも悪いことから、受け取った相手も、「このヤロー!」ということになったのでしょうが、気持ちよくやってくれれば相手だって最初からではないんですよね。

豊田氏も、最後に、こう結んでおられました。
『楽しくできないか-。思えばあの僧はよい「公案」を与えてくれた。楽しもうという気持ちさえあれば、雑役すら意味を持ち得ると悟った。』

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by heitaroh | 2008-05-08 08:05 | 思想哲学 | Trackback | Comments(6)
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Commented by Kazu at 2008-05-08 22:18 x
やはり一流になった人は新人の時から心根がちがうんだと思わされました。今日の日経のスポーツ欄に豊田氏のコラムが載っていて、水原氏のダンディーぶりにつき書かれていましたが、朝電車の中で読んでいて気持ちがさわやかになりました。一流はまた一流を知っているんですね。「豊田泰光のチェンジアップ人生論」本屋で買って勉強します。49歳からの勉強では遅かりしですかね。
Commented by D-KID at 2008-05-08 22:49 x
すんごい『目からウロコ』のお話、頂きました!

早速本探して買ってみます(^^)
Commented by へいたらう at 2008-05-09 10:05 x
< Kazu さん

本人も最初は面白くなかったと言っておられたわけですから、何も新人の時から心根が違っていたというわけでもないのではないでしょうか。
水原さんのダンディぶりという点では、同書には、氏が新人の頃の強打者だった田宮謙次郎氏にみた「大人」としてのあり方についても書かれていましたよ。

私も同じく、日々勉強中です(笑)。
Commented by へいたらう at 2008-05-09 10:07 x
<D-KID さん

私も似たような経験がありますが、いくらトレーニングのため・・・と思うようにしても、やはり、やりたくない仕事はやりたくないもののようで・・・(笑)。
Commented by mimishimizu3 at 2008-05-09 17:27
いいお話ですね。僧侶も偉い。新人3人もえらいです。
で、オタクの坊やにはこのはなし、届きました?
Commented by heitaroh at 2008-05-09 18:22
<mimishimizu3さん

多分、私も、ガキと同じ年頃に、灯油を持てと言われて、この話をされても、聞く耳を持たなかったでしょうね(笑)。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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