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ピストル堤こと堤康次郎の卓見、「喬木風に弱し!」
親愛なるアッティクスへ

以前、20年くらい前でしょうか、「西武VS東急戦国史」という本を読んだことがあります。
あの!西武東急が成立していく過程を講談本的に描いた、なかなか、面白い本だったのですが、その中で、今でも、大変、印象に残っている話があります。

西武の創業者にして先代である「ピストル堤」こと、堤 康次郞氏や、東急の創業者、「強盗慶太」こと五島慶太氏という、あの時代の、いわゆる明治生まれの大物というのは、まあ、時代的な背景もあったのでしょうが、現代のホリエモン楽天三木谷氏のように決してスマートではない・・・、(むしろ、そういったきれい事に身を包むという必要もなかったのでしょうが)本音という核の部分がむき出しの家長的雰囲気を持っていた人が多かったように思えます。
(「ピストル堤」は、右翼に銃で威嚇射撃されても、まるでひるまなかったというエピソードから・・・、「強盗慶太」といのは、余りにも強引な企業合併・・・つまり、乗っ取りを次々としかけることからそう呼ばれたのだと。)

で、私が印象に残っている部分というのは、堤 康次郞と西武がその拠点である東京池袋に対する姿勢です。
昭和22年(1947年)、公職追放中の身であった堤 康次郞は、地元より、「地元復興のために、東京池袋東口の土地、1万6千坪のうちの1万坪を売っていただきたい」と懇願されたとか。
このとき、本来、公徳心などというものには、まったく縁遠いはずの堤が、なぜか、それに応じて放出することを決定したと。
折から、地価が高騰していたことで、重役や株主の中には、「近い将来、西武百貨店を建設しなければならないのに、その土地にたくさんの商店が開店されるのは西武百貨店のためにはならない。あくまでも独占しておくべきだ」と、反対する者もいたといいます。
一見、至極もっともな意見に聞こえますが、これに対する堤康次郞の答えこそが、まさしく卓見だったと思います。
「それでは発想が逆だ。西武百貨店のためになるからこそ売るんだ。喬木は風に弱しで、たくさんの商店や飲食店ができれば群衆が多く集まる。ひとりでに街になる。そうさせておいてそのまん中に、わが西武百貨店を建てれば、なお効果的ではないか」

一本でぽつんと立っている木は風に弱い・・・。
思わず、ほー!と唸りましたね。

周辺にさまざまな雑木が繁っていてこそ、それらが防風林の役割を果してくれる。
一店だけで独占していると、一見、独占収入のようにも見えても地域に広がりが出ないばかりか、何かあった場合、一店だけで陳情などの活動をするのと、業界団体として活動するのとでは重みが違ってくる・・・。
また、西武百貨店が、東急の地元、渋谷に店を出したときに様々な妨害にあったのに対し、東急が西武の地元、池袋にデパートを出そうとしたとき、当然、反対すべきだという社内の意見を抑え、康次郞はこれを容認したと言います。
これこそ、まさしく、「喬木(桿木)風に弱し!」でしょう。

堤 康次郞という人物は、衆議院議長を務める一方で、「社員は皆、明智光秀だから、信用するな!」などと言ったという話もあるあくの強い経営者であり、その意味では、今の西武の凋落ぶりの根本を作ったという点で功罪半ばする人だったのかもしれませんが、この「桿木風に弱し!」という一点に於いては、経営者として、素晴らしい見識を持っていた人だと思わざるを得ないように思います。

ちなみに、同書の中では「喬木」と表示されていますが、私は同書の中に、なぜか、「桿木」とわざわざ、走り書きを入れております。
もう、20年も前のことで、なぜ、そういう書き込みを入れたのかは覚えておりませんが、(あるいは、別の本などでそう表示されていたのかも。)わざわざ、入れているということで、当時の私を尊重し(笑)、敢えて、一言。
誤り等有りましたら、どうぞ、遠慮無くご指摘下さい。
                        平太独白
by heitaroh | 2007-09-22 08:03 | 経済・マネジメント | Trackback(1) | Comments(4)
Tracked from 墓の中からコンニチワ at 2007-09-23 08:42
タイトル : 一応生還
実は9月7日(金)に退院していました。 ただ、強烈な「向精神薬」をいろいろ飲まされた結果、朝食後急に強烈な睡魔に襲われる、歩行中ふらつく、自転車をコントロールできない、PCのキーボード操作も信じがたいほど間違えるようになった上、普通の言葉が思い出せないこともあるという状態ですので沈黙していました。 退院後のケアを担当することになった近所のドクターの見通しでは、キーボード操作や言語連想力などが回復するには後2週間ばかり必要だろうとのことです。 収容された部屋は¥10,000クラスのビジ...... more
Commented by D-KID at 2007-09-22 22:23 x
堤康次郎氏ですか、西武グループの創始者のイメージが強いんですが、豪腕政治家と評する人も多いようですね。“ピストル堤”の異名も実際に右翼から襲撃を受けたことから来ているようですね。

『一本でぽつんと立っている木は風に弱い…』とは、よく言ったもので。
んで、これを見て気付いたのが今季のファイターズ打線。多分選手個人の成績・力量を比べていくと他球団と同等ないしは見劣りするんですが、これを並べて対戦するといわゆる1+1≦2みたいな力に思えて来るから不思議なんですよね。
翻って我らがホークス打線、名だたる選手は連ねてあるもののコレが線としてなかなか繋がらない。だから一人ポツンと立っている松中・小久保が押さえられるともうダメ…Orz


無理矢理結び付けましたが、以上今日の敗戦でマジにショックで寝込んだD-KIDでございましたm(_._)m
Commented by へいたらう at 2007-09-23 13:52 x
<D-KID さん

まあ、この順位は予想されたことで・・・(笑)。
CSだか、BSだかで頑張ればいいんじゃないですか。

よく、選手一人一人は大したこと無いけど、チームの成績に結びついているようなチームがありますよね。
これは、ひとえに、指揮官の能力なのだろうと思います。
というよりも、指揮官の編成方針の差なのかもしれません。
ただ、誰にでも、それが出来るわけではないところが難しいところなのでしょうが。

結論を言えば、ひとえに、王サンは早く辞めないといけない・・・と。

堤康次郞は、政治家としては衆議院議長まで務めましたが、海千山千の政争の中では、イマイチ、パッとしませんでしたね。
Commented by D-KID at 2007-09-23 22:22 x
うーん、残念ですけど僕も王さんの采配(が全部なのかわかりませんが)疑問符をつけたくなるモノもありましたから、早く秋山コーチに禅譲すべきでしょうね。


やはり福田さんが自民党総裁に選出されましたね。首相選出が正式に決まったら、閣僚の留任もありうると言う話もでてきているようですが。
Commented by へいたらう at 2007-09-24 11:45 x
<D-KID さん

まあ、王サンの采配自体は巨人時代からの一貫したもので、必ずしも、試合巧者とはいえないまでも、それはそれで、一つの形なのでしょうが、ただ、もう、時代にそぐわなくなってきている・・・と思うんですよ。
だから、孫オーナーも、「本人が辞めない限り、永久監督・・・」などというようなことを言うべきではないと。

福田さんは、面白味には欠けるのでしょうが、まあ、安倍さんが日本のブッシュでしたから、そのぶん、いいんじゃないですか。
<< RAA設立に対する池田勇人への... 野村高将氏の身に起きた大難に憤... >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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