親愛なるアッティクスへ
以前、平太郎独白録 「フランス料理が敗因と上海協力機構が新冷戦時代の足音。」で述べましたことの続きなのですが、さきに開催された上海協力機構の在り方を見る限りでは、中国はアメリカと、いずれ、事を構える腹を決めた・・・と見て間違いないように思えます。
既述の通り、アメリカの最大の潜在敵国、
イランを
オブザーバー参加させ、一方の
アフガニスタンの
カルザイ政権は
アメリカの傀儡ということで参加を
拒否している・・・ということ以前に、中国はロシアとの間で領有を巡って争っていた
ダマンスキー島を放棄させることでロシアとの懸案事項を解決し、
中印雪解けで
インドから奪っていた領土を返す動きを見せ、さらには、
インドと
パキスタンとの
和平仲介の労をとることさえ厭わないという姿勢を表明したという・・・。
(かつての、
ワルシャワ条約機構そのものに見えてくるのは私だけでしょうか・・・。)
で、その上で、日本の
尖閣諸島に出てくるという、ある意味、わかりやすい外交戦略を展開しているのでしょうが、特に、インドへの領土返還・・・などという、あの中国が一旦、占領した領土を返還するなどというのは、指導部には、よほどの考え、よほどに暗黙のコンセンサスがあってのことであろうかと思います。
これらを考えたなら、中国は、少々の犠牲を払ってでも、大敵・アメリカとの対決に備え、背後を固めたとみるのが妥当でしょう。
(もっとも、戦前の日本がそうであったように、すべてに一枚岩というわけにはいかないのでしょうが。)
おそらく、アメリカも中国も、お互いに、その辺のことは十分にわかっているはずで、それでいながら、今は両国共に、気づかぬ振りを決め込んでいる。
嵐の前の静けさと言うところかもしれませんが、こういうことは、国際社会においては別に珍しいことではないのでしょう。
まあ、ひとつには、
遠交近攻という、国家間の外交原理に照らしたならば、
日中は
近国でも、
米中は
遠国であるということがあるでしょう。
日米、米中、露印は遠国ですが、日露、中露、中印、米露は近国なのですから。
つまり、米中は、本来ならば、今すぐ、目くじらを立てないでもいい相手なのです。
それが、反目しようとしている・・・。
これ即ち、両国・・・特に中国側の
内部事情がそれを許さなくなってきているということだと思います。
明日へ続く。
平太独白