日本で一番速い球を投げた男、森安敏明。
親愛なるアッティクスへ

e0027240_1495518.jpgいつだったか、福岡ヤフードーム福岡ソフトバンクホークスVS横浜ベイスターズの交流戦(←)を見に行ってきました。

この日は、まあ、試合自体はいいところがなくソフトバンクが負けてしまいましたが、それでも、こんな間近で、横浜の最速投手、クルーンも見られましたし、まあ、いいかと・・・。
(連れは、誰かに電話して、「テレビ見てくれ!今、映っているから!」と言ってましたが、あっさりと、「今、家にいない」と返事されたようでした(笑)。)

で、そのクルーン。
確かに速かったですね。

最近見た中では、デビューした年の寺原隼人投手なんかも速かったですけど、やはり、もう一段、速かったように思いました。

e0027240_17121945.jpgで、クルーンの剛速球を見ているうちに、私はある、一人の投手のことを思い出しました。
東映フライヤーズ投手、森安敏明・・・。
この名前は、昭和30年代に生を受けた人なら、ある意味、「知る人ぞ知る」名前でしょう。

以前、平太郎独白録 「CM契約にみる毀誉褒貶、その2 伝説の名投手 池永正明。」でも述べた話ですが、昭和45年(1970年)、当時の球界を、いや、日本を揺るがせた事件に暴力団によるプロ野球選手の八百長(敗退行為)事件、通称、「黒い霧事件」が発覚、このとき、これに関与していたとして、何人かの選手が日本プロ野球機構から処分を受けました。

中でも、当時、大投手の道を着実に歩んでいた西鉄ライオンズのエース、池永正明氏が永久追放処分に処されたことで、何だか、池永氏ひとりが処分された事件だったかのような観がありますが、実際には、このときには、あの、江夏豊氏を始め、桑田武、鈴木隆、坂井勝二、成田文男、土井正博、船田和英、基満男、田中勉、葛城隆雄・・・と、当時を知る人が聞いたら、唸らんばかりの、そうそうたる顔ぶれが、大なり小なり何らかの処分を受けています。
しかし、何と言っても、最も重い永久追放処分となったのは、池永氏も含め6人。
中には、中日のエースで背面投げで有名だった小川健太郎氏のような人もいますが、これらの中で、35年という歳月と引き替えにしたとは言え、名誉が回復されたのは池永氏のみ・・・。
それは、さておき、このとき、その「永久追放」の中に名を連ねていた一人が、この森安敏明投手でした。

以前、あの、大投手、金田正一氏の実弟で、同じく、プロ野球投手だった金田留広氏(我々が子供の頃は、結構、有名だったんですけどね。)の著書を読んだことがあるのですが、その中で、「私も若い頃は、スピードにはそれなりに自信があったが、森安と並んで投げたら、まるで話にならなかった。今まで、色々な投手を見てきたが私が見た中では、間違いなく森安が一番速かった」と述べておられました。
同書によれば、森安氏は、当時、東映フライヤーズの大番長だった、あの張本勲氏より、「先輩より、先に風呂に入った」という理由で、ぶん殴られたことがあったとか。
曰く、「さすがの森安も、張本さんには何も言えなかったが、翌日、張本さんが風呂に行くと、また、森安が普通に風呂で鼻歌を歌っていた・・・。」と・・・(笑)。

さらに、今のように、投手にローテーション制などが確立されていた時代ではありませんから、投手は連投などは当たり前だった頃に、ちょっと連投>させると、「あのコーチは、俺を潰しにかかっている・・・」などと言うので、コーチが遠慮して、中5日などで投げさせると、今度は、「俺は干されている」とまた、ブツブツ・・・。
本人曰く、「俺は中3日がちょうど良い」んだとか。
今の時代に、中3日で投げる投手なんかいませんよ(笑)。
成績自体はまあ、池永氏などと比べるとそれほど大した物は残してませんが、その球威はやはり魅力で、おそらく、これから伸びていく投手だったのでしょう。
(同期には、あの、200勝投手にして、巨人の前監督でもある堀内恒夫氏もいますが、堀内投手も、何だかんだ言って、この時点までは、あまり大差ない数字です。)

で、本題に戻ると、この森安投手、事件後、永久追放処分となるまでの間に1試合だけ登板したことがあったそうです。
このとき、審判をやった人が、後年、たまたまテレビのインタビュー番組に出ておられてたのを見たことがあったのですが、「今まで色々な投手を見てこられたと思いますが、誰が一番速かったですか?」との問いに、間髪を入れず、「あ、それはねぇ、東映にいた森安ですよ」と。
「特に森安が、永久追放になる直前に謹慎が解けて出てきたときなんて、もう、投げられる喜びで、球が速すぎてまるで見えない。審判に見えないんだから、もう、全部、ストライクですよ。」と。

やはり、今の日本のプロ野球選手に欠けている物こそ、これではないかという気がするのです。
今のプロ野球選手たちは、「一球入魂」という言葉の意味に、もう少し、想いを馳せるべきではないでしょうか。
                              平太独白
by heitaroh | 2006-05-25 08:58 | スポーツ | Trackback(1) | Comments(3)
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Tracked from 新丸子の不動産屋です at 2007-09-23 13:54
タイトル : クルーン159キロだ
クルーン159キロだ ... more
Commented by エリモジョージ at 2010-06-30 10:53 x
たまたま森安投手のことが気になっていたら、貴方のブログに遭遇いたし、随分と前の記事ですがコメントさせていただきます。
私が子供の頃、後楽園球場は巨人と東映の2チームのフランチャイズ球場でした。判官びいきの父は人気のないパリーグのファンで後楽園球場に野球を見に行くのは全て東映の試合でした。
いつ行ってもガラガラで大声でヤジを飛ばす名物オジサンも野球の一つでしたが、子供心に「なんで巨人戦じゃないんだ。」と父に言いながら見ていた記憶があります。
そんな時、見た森安投手の球はおっしゃるとおり凄いの一言でした。
当時、自分も少年野球をやってましたから、あの手元で”ホップ”する直球を見た時はゾクッとしました。
後に法政大学時代の江川が同じような球を投げてましたが、ややサイドスローで投げる森安投手の方がキレがあったと思います。
その森安投手も病気で亡くなられていたのを知って、永い月日を感じざるを得ません。

「一球入魂」 
最近では高校野球でもあまり聞かれなくなってしまった言葉ですが野球の指導者は間違いなくこの言葉で育てられました。
近い将来、また”熱い”選手が出てくることを期待しています。
Commented by heitaroh at 2010-06-30 11:24
<エリモジョージ さん

初めまして。
コメント有り難うございます。
私としては、以前の記事はなかなかご覧頂けないことが多く、寂しく思っておりましたので、こういう昔の記事にコメント頂けるのは大変嬉しいです。

世代的に同世代のように拝察申し上げますが、私も福岡ですから西鉄ライオンズがあるので、子供の頃、行ったのでしょうが、森安投手が投げていた姿は記憶にありません。
ただ、当時から名前は知ってました。
やはり、永久追放になった中ではパ・リーグにしか馴染みがなかった福岡の子供にとっては、池永さんの次くらいには有名だったのではないでしょうか。

ただ、イメージとしては、スリークォーターから切れの良い球を投げ込んでくる・・・という感じだったのですが、それほど早かったとは金田留広氏の著書を読むまで知りませんでした。

森安さんも亡くなられましたか・・・。
福岡ではあの事件以来、中洲でスナックをやっておられた池永さんもとうとう、引退されました。
月日が流れるのは早いものです。
あの、痛ましい事件の記憶が風化していないことを祈るのみです。
Commented by heitaroh at 2010-06-30 11:25
<<エリモジョージ さん


>近い将来、また”熱い”選手が出てくることを期待しています。

今のプロ野球選手に欠けているものはこれだと思います。
彼らは技術を売っているのではない。
感動を売っているんだ・・・ということを良く認識して欲しいものです。
<< 古き良き「ザ・ヒットパレード」... 西鉄ライオンズの帽子に想う、ノ... >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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