人気ブログランキング | 話題のタグを見る


幻の都 安土をゆく その3 安土城を燃やした男、信雄編。
親愛なるアッティクスへ

で、またもや昨日の続きです。
で、折からの雨の中、セミナリヨ跡を過ぎ、いよいよ、安土城跡に到着。
安土城跡は、今は総見寺所有の私有地だということで、一応、許可されている限りの部分を歩いて登ってきました。

幻の都 安土をゆく その3 安土城を燃やした男、信雄編。_e0027240_11221338.jpg安土城自体についての考察は後回しにするとして、ここを登っていくと中腹の辺りに信長の次男・織田信雄(のぶかつ)から4代の墓がありました。
(←一番右が信雄。以下、順番に信雄の息子、孫、曾孫と並んでいます。)

これは、ちょっと、意外でしたね。

信雄は、父、信長の横死後、狼狽えた挙げ句に、この安土城炎上させたと言われている人物です。
でも、実際には彼が火を付けたという証拠はどこにもなく、私も、信雄が火を放ったとは考えにくいと思っています。

ただ、この信雄という人物ですが、在世当時から、偉大なる父、信長に似つかぬバカ息子ということになっています。
明智光秀羽柴秀吉中国大返しによって敗死した後、次の政局は、秀吉と織田家筆頭家老・柴田勝家との権力抗争に突入していくわけですが、勝家が信雄の弟、信孝(信長の三男)を担いだことで、信雄はそれに対抗する意味で秀吉と協調路線を採り、賤ヶ岳の戦いで勝家が滅びると、秀吉にそそのかされて弟、信孝を殺害します。
主筋を討つのに、自らの手を汚さずに済ませる・・・。
呆れるくらいにうまい、秀吉のやり方ですよね。

ともあれ、この功績により、信雄は、織田家のクラウンランドとも言うべき尾張を領有することができたものの、案に相違して、着々と秀吉の天下が固まっていくのを見て、今度は、一人、権力闘争の圏外にいた徳川家康を頼り、秀吉を討つべく、軍を起こす。
いわゆる、小牧長久手の戦いです。
ところが、家康手強しと見た秀吉が矛先を変え、信雄領に進撃して来るや、同盟者家康に無断で、さっさと秀吉と単独講和を締結・・・。
その後、家康も屈服し、小田原北条氏も滅亡したことで、もはや、秀吉の天下は定まった・・・にも関わらず、信雄は、秀吉よりの国替え打診を拒み、所領を没収される。
剃髪して「常真」と号し、捨扶持2万石を秀吉から支給されるも、今度は、その後に起こった関ヶ原の戦い西軍に与してしまい、遂には、すべてを失ってしまう。
しかし、新たな権力者となった家康は、この、かつての同盟者を見放すことはせず、大和宇陀郡4万5千石を与え、信雄は当時としては長命の73歳で、その恥多き人生に幕を閉じる・・・。
かつて、大財閥の御曹司として生まれた者が、ついには自己破産し、その後、年金生活で細々と生きながらえていたようなものだったのでしょうか・・・。

希代の英雄であった父と、ボンクラ息子と言われても仕方がない信雄・・・。
その信雄の墓が、彼が燃やしたと言われている安土城跡にある。
偉大だった父の栄華を慕っているのか、それとも、安土城の主自分だ!と、今も主張し続けているのか・・・。
墓は、信長の栄光を見に来た人々に、まさに嘲笑されるが為にそこにいるような格好となっている。
「ここを本当に燃やしたのはアンタなのか?」
その問いかけにも、暗愚とされた男は何も答えようとはしない・・・。

ということで、まだまだ、続きます・・・。
                              平太独白
by heitaroh | 2006-03-15 08:58 | 歴史 | Trackback | Comments(5)
Commented by Sarhto at 2006-03-15 14:49 x
[玄関]・▽・)ノ おじゃまします♪
へいたろうさんは本当に詳しいですよねぇ~~
すごくお勉強になりますわ~

ポチ凸
Commented by へいたらう at 2006-03-15 15:10 x
>Sarhtoさん

ようこそ、マニアの部屋へ!(爆!)。

Sarhtoさんこそ、試験勉強しなくていいんですかぁ?
息抜きになるようでしたら、光栄ですが・・・(笑)。
Commented by tokkey_0524zet at 2006-03-15 17:50
 信長の息子達は凡庸な人物ばかりだったそうで、凡庸なりに彼らを補佐するような体制が出来ていないまま光秀に倒されてしまったという事でしょうか。
 家康の長男・信康を自刃させたのも傑物に対する嫉妬心からだと言われていますが。
 
 安土城へ行かれたんですか、いいですね~^^。私も経済的に余裕があればまた史跡巡りをしてみたいものです。
Commented by heitaroh at 2006-03-15 18:32
>tokkey_0524zetさん

まあ、凡庸と言っても、何に対して凡庸かということでしょうね。
土岐頼芸という人は、武将としては凡庸だったでしょうが、画家としては非常に優秀だったと言いますし、今川氏真という人も、内政家としては、なかなかに堅実な手腕を発揮していたといいますから・・・。

もっとも、織田家の場合は、仰るとおりに、本来、家督を継ぐはずだった嫡男、信忠が本能寺で一緒に戦死してしまったことは、想定外だったでしょうね。
でもまあ、信長にしろ、家康にしろ、あんな大人物の跡を継ぐ、二代目ってのは大変ですよ。

でも、安土は私は初めて行きましたから・・・。
他にも、大垣と浜松と吉田にも行ってきましたよ。
本当は、大垣や彦根、長浜、坂本なども行ってみたかったんですけどね。
今度、一緒に行きましょう!
関ヶ原で待ち合わせて・・・(笑)。
Commented by at 2006-03-17 08:26 x
>平太郎様

いつも、素晴しい内容ありがとうございます。

兄の突然の死でふってわいた家長の座。
どんなプレッシャーがあったんでしょうか?
偉大な父の名前に負けたくないといきまいて、
彼は何を考えて行動したんでしょう?

ただでさえ信長の2代目は大変なんでしょうが
彼の心中を想像すると共感すら覚えます。

まぁ、そこまで考えてないかもしれませんが(笑)
<< 幻の都 安土をゆく その4 安... 幻の都 安土をゆく その2 S... >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
ライフログ
最新のコメント
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:13
おっしゃるとおり、悪人と..
by sakanoueno-kumo at 13:53
> sakanoueno..
by heitaroh at 11:42
案外、美魔女妻に叱られて..
by sakanoueno-kumo at 21:20
> sakanoueno..
by heitaroh at 19:43
だけど、黒木華ちゃんって..
by sakanoueno-kumo at 10:59
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:21
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:06
今は昔と違って、チームの..
by sakanoueno-kumo at 15:42
中村メイコさんの前日に八..
by sakanoueno-kumo at 15:31
> sakanoueno..
by heitaroh at 15:33
いわゆる「危機管理」と「..
by sakanoueno-kumo at 11:39
> sakanoueno..
by heitaroh at 12:58
あけましておめでとうござ..
by sakanoueno-kumo at 17:36
> sakanoueno..
by heitaroh at 16:54
検索
タグ
(67)
(56)
(55)
(53)
(50)
(46)
(43)
(42)
(42)
(36)
(33)
(32)
(31)
(31)
(30)
(28)
(27)
(27)
(26)
(26)
(25)
(24)
(24)
(24)
(24)
(23)
(22)
(21)
(21)
(21)
(21)
(20)
(20)
(19)
(19)
(18)
(18)
(17)
(17)
(17)
(16)
(16)
(16)
(15)
(15)
(15)
(14)
(14)
(14)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(12)
(12)
(12)
(12)
(12)
(11)
(11)
(11)
(11)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(9)
(9)
(9)
(9)
(9)
カテゴリ
以前の記事
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
最新のトラックバック
フォロー中のブログ
ブログパーツ
  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧