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討論番組に想う荘子「朝三暮四」的人間論
親愛なるアッティクスへ

先日、テレビの討論番組で、「消費税アップ」に対して、意見ではなく、目を吊り上げて、ただ、不満をぶつけているだけの人たちがいましたが、これは番組の選考ミスでしょうね。
こういう番組は、反対意見や違う主張が出たからといって感情的になって食ってかかるような人は、番組の趣旨の上からも不向きではないかと思われますので・・・。
で、これを見てて、少し不謹慎ですが、或る話を思い出しました。

荘子の中に出てくる話ですが、
【あるところに、猿が好きで、沢山飼っている人がいた。
彼は貧乏で、家族の食事を減らしまでして猿に食わしていたが、ついに餌のを減らさねばならなくなった。
そこで、猿たちに向かい、「今後は、餌の栗は、朝3つ、夕方は4つにしよう。」と切り出したら、猿どもは皆起ち上がって怒った。
そこで、「そうかそうか。では、朝4つ、夕方に3つならどうだ」と譲歩(?)したら、猿どもは、皆、大喜びでこれを歓迎した。
人間そっくりではないか・・・。】という話でした。

これを読んだ当時、確か20歳そこそこだった私には、この寓話の意味が、さっぱり理解出来ませんでした。
最初に、「今後は減らす!」と宣言して、その後に、「やっぱり据え置く」にしたのなら、まあ、対比効果感覚的にだまされるというのもわかるんですよ。
織田信長は、城を移すときに、まず、最初にとんでもない所に移す!と宣言し、家臣たちが反対するのを見計らって、本来の移転先を発表したとか。家臣たちも、「まあ、あそこに比べたら・・・」ということで、特に反対もなく決まったと言いますが、むしろ驚くべきは、信長という人の融通無礙発想の柔軟性でしょうか・・・。信長という人の性格と、上意下達を旨としてきた織田家という絶対権力を考えれば、家臣の反対意見に対して、「譲歩と見せかける」ことを考えると言うこと自体が驚きです。)
でも、そうじゃなくて、ただ単に、朝と夕の数を入れ替えただけで、トータルの数はまったく変わってないんですよね。

ところが、最近、ようやく、この意味がわかるようになってきました。
この討論番組のように、「増税する!」というと、目をつり上げて反対する人たちが、「保険の」とか、「年金を」という話になると、意外に、増税ほどの拒否感を示さないんですよね。
でも、結果的に、増税に見合う分だけ、社会保障費が削減されれば、負担は同じくらいになっちゃうんですけど、そういったことには、それほど文句は言わない・・・。
同様に、減税というと喜ぶけど、その分だけ、どこかでしわ寄せがくるのでしょうが、そのことにはそれほど斟酌しない・・・。
社会保障がよくなったからといって、社会保険事務所に勤めている人たちが、自分たちの身銭を切ってくれるわけじゃないんだから、必ず、どこかにしわ寄せがくるんですけどね。
そう考えれば、我々は、この寓話に出てくるにそっくりではないですか・・・。
と言いつつ、私もこの理屈、最近になって気づいたんですけどね・・・(笑)。
                            平太独白
by heitaroh | 2005-12-17 19:03 | 社会全般 | Trackback(1) | Comments(10)
Tracked from ココログ版 iLandの弁明 at 2006-02-02 17:29
タイトル : 海外で裕福な年金暮らし?
リンク: 縦並び社会・格差の現場から 年金移民.  ベランダからマラッカ海峡の青... more
Commented by tokkey_0524zet at 2006-01-30 02:35
 今晩は。「朝三暮四」の故事ですね。

 小泉総理が誕生した時には日本国民がこぞって待望していた感がありましたがそれは前の人が余りにもアレだったからで、野球で「スローボールの後には普通の速球が何倍ものスピードにも見える」という奴でありましたw。

 織田信長の挿話からちょっと連想しました。主旨は違いますけど。
Commented by へいたらう at 2006-01-30 14:33 x
> tokkey_0524zetさん

いつも、コメント有り難うございます!

>「スローボールの後には普通の速球が何倍ものスピードにも見える」
・・・というのなら、わかるんですよね。
でも、トータルの数は変わらないわけですから、言ってみれば、スローボールの後にスローボールなわけで、何で、そんなのに引っかかるのかがわからなかったんですが、結構、人間って、猿を笑えませんよね。
・・・ていうか、私だけ?(笑)。
Commented by 現実にある・・・・・ at 2006-01-30 15:21 x
コメント有難うございます。
今後とも宜しくお願いいたします。
Commented by heitaroh at 2006-01-30 15:43
> 現実にある・・・・・さん

こちらこそ、よしなに・・・。
Commented by ジンマーマン at 2006-01-30 18:44 x
TVのCMだったでしょうか。社長に給与の20%は貯蓄せよと言われた従業員が不服顔…。けれども80%使えばいい、と言われて納得顔でしたね(笑)。
Commented by 南の国の会社社長 at 2006-01-30 18:46 x
織田信長の挿話から私が連想したのは、アジアでの買い物のときの値切り方の話でした。土産物とかよく相場がわからないものがあります。観光客に関しては、売り手側はかなりの高値で言ってくることが多いです。ここではまず、思い切って半値に値切るというのが王道です。すると売り手側は、泣きそうな顔をして「あんたそりゃいくらなんでもそんなんしたらおまんまのくいいあげでおますわ」みたいな泣きを入れてきます。結局、最初の言い値の70〜80%前後で落ち着きます。実は、言い値の75%くらいで決着してもきちんと利益は出しているのです。だから売り手側は「しょうがありませんな」というような表情をしていても、そこそこハッピーなのです。買い手側も、言い値からそこまで値切れたということでハッピーなのです。これは世に言うWin-Winの関係と申します。これをデパートや、空港の免税店とかでやると嫌われます。(笑)
Commented by heitaroh at 2006-01-30 19:21
>ジンマーマンさん

これいい!!
大受けです!
Commented by heitaroh at 2006-01-30 19:26
> 南の国の会社社長さん

これは、海外に行くとよく言われますよね。
でも、関西人はともかく、私などは、あまり、そういうこと慣れておりませんで、逆に、ネガティブなA型だからか、いくら値切っても、「高買いしたのではないか?」という気になり、あまり、快い気分になりません。
だから、少しくらい高くても、値段が決まっている方がいいみたいです。

でも、仕事の時は、値切ったりしますが、こちらの方は、大体の向こうの線が見えるからか、むしり取ることもしませんが、そこそこ安くするように交渉し、満足しています。
でも、これって、相手が日本人だからという気分的なものだけで、結局は、猿と何ら変わりがないような・・・。
Commented by tokkey_0524zet at 2006-01-30 19:32
 目先の利益に惑わされて大局を見失ってはいけない、という事ですね。
 ついついその場さえ凌げれば良い、と向こうの言われるままになりがちですが気を付けたいものです。
Commented by heitaroh at 2006-01-30 19:41
> tokkey_0524zetさん

とは言え、わかっちゃいるけど・・・ってやつで、これがなかなか、難しいんです・・・。
逆に言えば、気の持ちよう・・・という(笑)。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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