南総里見八犬伝にみる山田風太郎に想う天徳内裏歌合。
昭和36年~40年生まれくらいまでの世代では、まず殆どの方が「南総里見八犬伝」というものには、ある種、特別の感慨をお持ちなのではないでしょうか?
それすなわち、昭和48年(1973年)、当時の子供たちを魅了したテレビ番組にNHK 人形劇 「新・八犬伝」というモノがあったからです。

エンディング・テーマで語り部の坂本九さんが、「巡る巡る巡る因果は糸車~♪ 明日はどんな人に会うだろう~♪」と歌っておられたとおりに、次々に、奇縁が機縁を生み、因果は因果に絡みつく・・・。
展開はどこまでも拡がりを見せ、「あ、ここで、あれが絡んでくるのか!」って感じで、もう、はまって見てましたね。
私に限らず、学校での翌日の話題もこれでしたから、それほどに、当時の子供たちに与えた印象は深かったのでしょう。
(私もご多分に漏れず、DVDが出たら、すぐに買った口ですが、残念ながら、現在では、わずか三話程度しか残されていないとか・・・。その中で、人形師の辻村ジュサブローさんが言ってましたが、「もう、九ちゃんも中村八大(音楽)もいなくなって、私しか残ってないけど、私の体が動くうちに、何とか、もう一度、八犬伝をやりたい」・・・と。何とかならないんでしょうかね・・・。)

で、当時、私は人形劇「新・八犬伝」の元書である南総里見八犬伝というものをも読んでみたくなり、学校の図書室でむさぼるように読んだのを覚えていますが、先般、この「新・八犬伝」のDVDを見て、あの頃、むさぼるように読んだ「南総里見八犬伝」を始め、「水滸伝」など、改めて、子供向けのモノではない、大人向けの物を読んでみたい・・・と思い立つようになりました。
ところが、そう思って、書店に行っても、なかなか、めがねにかなうモノはないのです。
水滸伝にしても、ようやく、津本陽氏の「新釈水滸伝」を見つけ、これを買い求めましたが、南総里見八犬伝もまた然りで、比較的、大きな書店で探しても、あったのは、子供向けの物か、文語体で書いてある物で、(さすがに、以前、文語体で書かれた信長公記を買ったときは、見事に眠り薬になってしまいました(笑)。)ようやくにして買い求めたのが、山田風太郎氏の「八犬伝」との出会いでした。

で、読んでみてびっくり!
この風太郎「八犬伝」は、「南総里見八犬伝」という「物語」と、作者である「滝沢馬琴」の生きた文化文政という時代のうねりという「物語」とが、虚実同時並行している八犬伝であり、とにかく、その奥行きの深さ、表現力の巧みさには舌を巻きました。
正直、私は、山田風太郎という人の名前は知っていたものの、これほどの使い手だとはつゆ知りませんでしたね。
ある意味では、この八犬伝は本来の八犬伝を超えたと言っても過言ではないように思えます。

言うならば、司馬遼太郎という人が、その緻密な構想力を駆使し絶妙のコントロールと投球術で打ち取るタイプなら、山田風太郎は絶品の切れ味鋭い変化球をコーナー一杯に投げ込んでくるタイプだと・・・。
ある意味二人は、時代が違えば、「天徳内裏歌合」での壬生忠見平兼盛であったのかもしれません。
                                平太独白
by heitaroh | 2006-01-06 07:52 | 文学芸術 | Trackback(4) | Comments(6)
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Tracked from 晴歩雨読 at 2006-01-07 02:16
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Tracked from Aboyan's お気楽.. at 2006-01-07 13:56
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Tracked from みとも日誌 at 2006-01-08 09:38
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Tracked from 天竺堂の本棚 at 2016-08-31 10:28
タイトル : 八犬傳(上・下)
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Commented by tokkey_0524zet at 2006-01-05 18:41
 山田風太郎「八犬伝」持ってます。朝日新聞で連載されていた時も読んでいました。「虚の世界」と「実の世界」が交錯した構成は見事で面白かったですね。
Commented by heitaroh at 2006-01-05 18:52
>tokkey_0524zetさん

おお!サスガ!
あれ、連載されていたんですか・・・。
知りませんでした。
おそらく、あれを念頭に置いていらっしゃるんだろうなとは思ってましたが・・・。

あ、興奮の余り、御礼を忘れてました(笑)。
コメント有り難うございました(爆!)。
Commented by みとも at 2006-01-08 09:36 x
「新・八犬伝」464話もあったんですね!
「三国志」といい、登場人物のやたら多い人形劇を見事に作ってしまうNHK。民営化されたら、二度と実現できないのでしょうか・・・。
ジュサブロー氏の八犬伝をもう一度作ってもらえるなら、受信料倍払ってもいいです(笑)!
100歩譲って、風太郎氏の八犬伝を実写ででもいいです。
(こっちの方が実は面白いかも・・・?)
Commented by へいたらう(管理人) at 2006-01-08 15:03 x
> みとも さん

コメント有り難うございました。
そうなんですよ!
私も新・八犬伝が足かけ二年もあっていたことに驚きました。
おそらく、最後の方は、わたしはもう中学生になってましたので、見てなかったんでしょうね・・・。

私も、ジュサブロー氏の八犬伝、もう一度、見てみたい!
ジュサブロー氏、今度は俯瞰でやってみたい・・・なんて、意欲的なこと仰ってましたよ。

あ、それと、風太郎八犬伝は、本当に、映画かドラマ化されませんかね・・・。
内容的にも、相当、期待出来ると思うのですが・・・。
Commented by りつ at 2006-01-09 19:05 x
トラバ&コメントありがとうございます。

はい!私も見たいです、ジュサブロー八犬伝!お子様仕様にしていない人形でしたが、十分子供心をつかんでいましたね。子供のときにあの人形劇に出会えたのは今思うととても幸福なことでした。
Commented by へいたらう at 2006-01-09 22:19 x
>りつさん

あの八犬伝は、今考えても、坂本九の軽妙な語り口があったとはいえ、よくぞ、あそこまで、子供達の心を掴みましたよね・・・。
あっぱれ!でした。
しかし、再放送がないのであれば、新しく作るしかないですよね。
ホント、NHKさんにお願いしたい・・・。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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