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自分の好物は他人も好物!
親愛なるアッティクスへ

昭和29年、広岡達郎が、早稲田大学から巨人に入団したとき、当時、巨人には、主力選手として「打撃の神様」と呼ばれた川上哲治がいたそうです。
広岡と川上の確執は、改めて言うまでもなく野球ファンにはかなり有名な話ですが、特にその昭和29年という年は、さしもの「神様」川上も衰えが見え始めた年で、実際、川上はこの4年後に引退し、対照的に広岡はこの年、新人王を獲っています。

この年、不調に苦しんでいた川上は遠征先の旅館で素振りを繰り返していたところ、広岡が軽い気持ちで顔を出し、「カワさんも、苦しんどるのー」と一言・・・。
川上は青ざめた形相で広岡を睨み付けたと言います。
なぜ、広岡はこんなことを言ったのか?
広岡曰く、「自分の兄と川上が同じ年だったから、兄貴のような気分で接してしまった」だそうです。
が、川上にしてみれば、当然、イチ新人としか見てないわけですから、「生意気なやつ!」という印象を持ってしまった・・・と。
さらに当時、選手としては晩年だった川上は若い広岡の矢のような送球を捕れなかったそうで、ある時、広岡のショートバウンドの送球を川上がはじき、結果、広岡にエラーが付いたところ、広岡は、以来、すべて同じコースへ送球し、そのたびに、川上はポロポロとはじきまくり、満場の失笑を買ったそうです。
このときの「神様」川上の心中は察するに余りあるものがあったのではないでしょうか。

当然、川上が監督になると、広岡に対する露骨ないじめが始まり、広岡は引退に追い込まれます。
その後、評論家としてスタートした広岡が巨人のアメリカ・キャンプを取材に訪れたところ、川上は広岡に対して選手らに箝口令を布き、一切の取材に応じさせなかったそうで、この仕打ちに広岡は独り、ホテルのベッドで泣いたと。
その後、川上は巨人の監督として、9年連続日本一という前人未踏の遺業を成し遂げ、それと入れ替わるように、広岡は監督としてヤクルト初優勝に導き、その後、西武常勝へと導きます。
これほどの二人でありながら、その確執の原因となったのが、広岡の「友達」のような勘違いだったのですから、まったく笑えない話です。
でも、これは、有り得ない話のようで、結構、ありがちな話なのです。
広岡という人間は、大先輩に対して平気でショートバウンドのボールを投げるような人間ですし、一方の川上もチームの打撃練習の時間を一人で使いきったとか、ゴルフで後の組がどれほど詰まっていようと、平気で自分のボールが見つかるまで探した・・・などという逸話がある人物で、言うならば、似たもの同士だったのでしょうが、そういう普通の尺度で測れる人間同士じゃなかったのですから、さもありなんと・・・。

その上で、敢えて、もし、川上と広岡の兄とが同じ年でなかったら・・・、中国人が皆、日本人と似てない黒い肌白い肌をした人間ばかりだったら・・・。
それでも、同じ状況になっていたのでしょうか?
どうにも人間というモノは、「こんなにおいしい料理を嫌いなやつがいるはずはない!」と思いこむことがあるように思えて成りません・・・。

参照:平太郎独白録 :中国人は異質の民族
                               平太独白
by heitaroh | 2005-06-17 18:07 | スポーツ | Trackback | Comments(2)
Commented by ジンマーマン at 2006-03-23 17:48 x
ヒトの視覚における先入見は内在的なものですねぇ。火星の表面の何の変哲もない岩まで人面に造形してしまいますから(笑)。見たものはそれ以外ではありえないと信じ込みますし、また見たいようにしか見ないのも人の常ですから…。それに気づいてバイアスを矯正するのは知性の役割なのでしょうね。
Commented by へいたらう at 2006-03-23 17:48 x
>ジンマーマンさん

コメント有り難う御座います。
人間、「何でそんなわかりきったことやるかなー。」と思っていても、気が付いたらやってるもんなんですよね(笑)。
我々も、広岡と川上を変わり者呼ばわりするばかりでなく、他山の石とした方がいいように思う今日この頃です。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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