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義経と仲達の差に見る上司に恵まれない時の政治判断
官房長官時代の枝野幸男氏を評して「頑張っているのに上司に恵まれない」ことを「エダる」と言う流行語があったそうですね。
まあ、いつの時代もこの手の話はあることのようで、「判官びいき」という言葉で知られる悲劇の名将・源 義経という人は軍人としては優秀でもやはり、高度な政治判断とは無縁の人だったのでしょう。
彼は自らのその後の保身のことを考えれば壇ノ浦平家を滅ぼしてはいけなかったんですよ。
平家の脅威が健在であれば、上司で兄の頼朝「狡兎死して走狗煮らる」の典型のような酷い仕打ちを科すことはなかったでしょうから・・・。

この点で、同じような立場に立たされた時の鋭敏な政治感覚を備えた人の対処例としては、三国志で有名な司馬懿 仲達の場合があります。
仲達という人は、三国志演義の中では、「死せる孔明、生ける仲達を走らす」などと言われ、天才軍師・諸葛亮 孔明にいつもいいようにやられる引き立て役のように描かれていますが、実際には孔明に勝るとも劣らない第一級の名将で、そのことは、都合5度に渡る両者の名勝負が「孔明の名采配の前に仲達が毎度苦境に陥りながらも最終的にはなぜかそのたびに孔明が撤退して終わる」という不思議な様相を呈していることを見ればよくわかるでしょうか。

三国志演義などはこれを「孔明の不運」として描いていますが、運などというものはそうそう一方にばかり加担するものではないはずで、実はこのとき、仲達が所属していた魏の王宮内では仲達の敏腕ぶりを危険視する反仲達派の人々がいたようで、(事実、最終的に魏を滅ぼし三国を統一したのは仲達の孫・司馬炎です。)、かといって、彼らにしても名将・孔明がたびたび攻め込んできている以上、これと対等に戦えるのは仲達しかいないということは衆目の一致するところで、となれば反対派も安易に仲達排除には乗り出せない・・・ということだったわけですね。
ただ、その一方で仲達は惨敗を喫したならば、反仲達派ももはや仲達に頼らなければならない理由はなくなるわけで、そうなると、この時とばかり仲達の責任が追及され生命の危険に瀕することになったでしょうから、その意味では、仲達は実績を上げてもいけない(=孔明軍温存)、上げなくてもいけない(=孔明軍撃退)という難しい課題を背負わされて、この戦いをやっていたというわけですね。

相手を完全に撃滅してしまうことが自身に与えられた役割であり、それが国益なのでしょうが、それをやっては我が身が危ない・・・という場合、上手に自分の身を守りながら、その上で国益を追求する必要があるということでしょうか。
                                         平太独白

by heitaroh | 2011-11-14 18:09 | 歴史 | Trackback | Comments(2)
Commented by mohariza6 at 2011-11-16 21:47
私は、三国時代の本当の傑出した英雄は、魏の曹操と思いますが、司馬懿 仲達もその部下として、傑出していたのでしょう・・・。

何故、蜀の劉備や諸葛亮孔明がもてはやせるか?が、今だ、よく分かりません。
Commented by heitaroh at 2011-11-17 10:43
< mohariza6さん

まったく同感です(笑)。私も、曹操は中国三千年の歴史の中でもベスト3に入るほどの英傑だと思っています。
それにたとえ、史実ではないにしても、「治世の能吏、乱世の梟雄」などというフレーズにも小悪などではないスケールの大きさを感じますよ。
その意味では、孔明はともかく、劉備などはもっと、現実に近い、野卑な姿で描いた方が良かったようにも思いますね。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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