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吉田松陰、その命日に想ふ武士の教育!
親愛なるアッティクスへ

今日、10月27日吉田松陰の146回目の命日です。
昨日、一昨日と、この希代の教育者について述べてきましたが、これまでは慈母の存在というものについて、今日は、それとは対局をなすという意味でも、厳父と言うべき、武家の教育というものについて取り上げてみたいと思います。

まず、昨日の終わりの所でも触れましたが、寅次郞少年(松陰)は、幼時、叔父であり、でもあった玉木文之進について兵学・政治学など、様々な学問を学んだと言われています。
が、それ以上に教えられたのが、武士というもののあり方・・・というものだったそうです。
文之進にとっての「武士」とは、即ち、「私心を持たない」と言うことだったようで、あるとき、講義中に寅次郞の額に虫がとまり、痒かったので、つい手でポリポリと掻いてしまったそうです。
それはみた文之進は、突如、烈火の如く怒り、寅次郞に殴る蹴るの凄まじい暴行を加えたと言います。
(この光景を見た寅次郞の母、タキは、後年、息子は死んだと思った」そうです。)

文之進に言わせると、「痒みは。講義は公(おおやけ)に役立つ為にやるのであるから。とすれば、掻くことは私の満足である。それをゆるせば長じて人の世に出たとき、私利私欲をはかる人間になる。だから殴るのだ。」ということだったそうですが、現代人から見ると、少々、理不尽なようにも思えますが、やはり、松陰という人格を形成する上では必要なことだったのかもしれません。
暖かく前向きな母だけで、後の吉田松陰が出来たわけでもないということでしょうか・・・。

一方で、こういった話は、武士の世界ではそれほど、突飛なことでもなかったようです。
豊臣秀吉の初期の軍師、竹中半兵衛についても同じような話が伝わっています。
竹中半兵衛と言えば、当代きっての知恵者として知られていた人物ですが、我々のイメージでは、の黒田官兵衛の竹中半兵衛といった印象の、白面の物静かな文学青年といったところではないでしょうか?
この半兵衛が子供たちへの軍学の講義中、息子の一人が黙って席を立ったそうです。
で、戻ってきて、「どこへ行っていた?」と聞かれたので、「厠(トイレ)へ行ってました。」と答えた途端、普段、物静かな父が烈火の如く怒りだし、まさに玉木文ノ進状態で激しく折檻されたと言います。
曰く、「竹中の家の子供が軍学の講義の途中で、尿意を催したのなら、何故、垂れ流さん!『竹中の家の子は、軍学の講義に夢中になった余り、尿意すら忘れて垂れ流した』と言われてこそ、竹中の家の誉である!」と・・・。
これも、理不尽と言えば理不尽のようにも感じますが、これは私には何となくわかる気がします。
要は「覚悟」の問題を言いたかったのでしょう。
「竹中の家は軍学者の家である。その家の子供は尿意に気づかぬほど軍学に打ち込んでいる」と。

私がまだ子供の頃、材木の上に土足で乗ったところ、父からほぼ同じような折檻をされたことがあります。
大工の家の子供が、材木に土足で乗ったらいけないというのは、一々、教えられるまでもなく、当然、見知っておいてしかるべし・・・というものだったのでしょうか。
しかし、文ノ進も半兵衛も、教育者とは言え、とんでもない教育者ですよね・・・。
身近にいないでよかった・・・、居たか(笑)。
                            平太独白
by heitaroh | 2005-10-27 00:13 | 歴史 | Trackback(1) | Comments(2)
Tracked from 坂の上のサインボード at 2013-02-05 20:53
タイトル : 八重の桜 第5話「松蔭の遺言」その1〜安政の大獄と吉田松陰〜
 江戸幕府大老・井伊直弼の断行した安政の大獄により、多くの志士たちが切腹や死罪などの極刑に処せられましたが、そのなかのひとりに吉田松陰(寅次郎)がいました。松蔭は、このとき重罪を科せられた志士のなかでは、もっとも異彩を放つ人物といえます。というのも、安政の大獄によって処罰された者のほとんどは将軍継嗣問題で一橋派に与した者たちでしたが、松蔭の場合、その問題にはまったく関係しておらず、そればかりか、彼は安政期を通じてほとんど長州藩で幽囚生活を送っています。そんな彼が、なぜ死罪に処せられたのでしょうか。ここ...... more
Commented by sakanoueno-kumo at 2013-02-05 20:52
松蔭の没我奉仕の精神の根底は、幼少期にあったんですね。
たいへん面白いエピソードをありがとうございます。

私は子供の頃からアレルギー体質で、常に体のどこかを掻いていました。
文之進に育てられたら生きていられなかったでしょう(笑)。
Commented by heitaroh at 2013-02-06 13:30
< sakanoueno-kumoさん

幸せなご家庭に生まれられましたね(笑)。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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