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死んでなかったヤザワのゲゲゲの名伯楽

死んでなかったヤザワのゲゲゲの名伯楽_e0027240_1632022.jpg矢沢永吉という人がいます。
言うまでもなく、還暦を過ぎても、なお輝き続けるロック・シンガーで、ちょうど、私が高校生の時に「時間よ止まれ」の大ヒットでカリスマ的人気を誇っていた人なのですが、盛者必衰の理に漏れず、私が大学に入った辺りからその人気は翳りを見せ始め、自作映画を作ったり、アメリカのレコード会社と契約したりというニュースは耳にするものの、曲もぱっとしませんでしたから、このまま下降線を辿っていって、いずれ、「天地真理」状態にでもなるのかな・・・と(笑)。

それが、その翌年辺り、ちょうど、私が20歳を越えた頃くらいにCMソングとして「YES MY LOVE」が出て、「あれ?」と思い、LAHAINA」を聞いた瞬間、「あ、ヤザワ、まだ死んでないや」・・・と。
その後の活躍は改めて触れるまでもないことですが、なぜ、こんなことを言うかというと、アスリートなどと違い、音楽などの芸術を売る人たちには基本的にアーチスト寿命というのは無いんだということを思うからです。
つまり、彼らは本当に良い物を提供すれば聴衆は受け入れてくれるということであり、「時代が変わった」とか、「飽きられてしまった」・・・、あるいは、「大衆の嗜好が変わった」などと言っている人たちは、それ以前に「本当に良い物を提供していない」のではないかという気がするんです。

確かに、時代の変化というのはあるでしょう。
実際、我々が大正時代のヒット曲を聴いて、当時の人たちと同じように感動できるかといえば、そこは生活習慣も違えば環境も、言語さえも違う以上、難しい物があことは事実でしょう。
でも、一世代くらいなら、十分、許容範囲で、実際、私も、親の時代の曲でも好きな曲はありますし、うちのガキどもも私が彼らくらいの時に聞いていた「ダウン・タウン・ブギウギ・バンド」などを聞かせたところ、気に入ったみたいですし・・・。

この点で想起するのが、今年の流行語大賞にもなった「ゲゲゲの女房」で、スランプに陥った水木しげる翁が「もう、誰も私の漫画なんか見てくれませんよ」と投げ遣りに言うのを受けて、盟友のイヌイさんが「大丈夫です。本物は消えません」というシーンです。
(毎度、思いますが、流行語大賞って、一体、何を基準に選んでるんだ・・・と。昨年の「政権交代」なんてまったく流行してませんし、今年のも流行はしたけど、流行語にはなってないだろう・・・と。)
イヌイさんという人は、水木翁にとって、友であり、仕事仲間であり、理解者であり、師でもあったのでしょう。
それだけに、今の水木漫画に何が欠けているかはわかっていたはずで、(おそらくは仕事が増えるうちに、かつての野性味のようなものが無くなっていたのでしょう。)それなのに、「今、あなたの漫画に何が欠けているかは私にもわからない。でも、それが何かわかるまでは大いに苦しんでください」・・・などという辺り、この人は、翁にとってはまさしく名伯楽だったのでしょうね。
こういう人たちに囲まれていた水木しげるという人は本当に幸せな人だったんだなと大変、羨ましく思えますね。
              親愛なるアッティクスへ 平太独白

by heitaroh | 2010-12-14 18:00 | 文学芸術 | Trackback | Comments(4)
Commented by sakanoueno-kumo at 2010-12-15 11:19
たしかにアーチストには、アスリートの「体力の衰え」のように誰にでも訪れる限界はありませんが、その人のおかれた環境による「感性の衰え」はあると思います。
以前、スティービー・ワンダーが、最新の視力回復手術に関心を示しているという報道が流れたとき、「音楽家としての才能に支障をきたすのではないか」と危惧する声が後を絶ちませんでしたが(スティービーにしてみればそんなものより見えるようになりたかったでしょうけど・・・)、たしかに、全盲であるが故に育まれた感性というのはあったでしょう。
若くハングリーな時代に持っていた感性が、世に認められて富を得たために失われてしまった、というのはよくある話だと思います。
その意味では、長い間支持されているアーチストは、長い間感性を維持し続けている人ということで、いわゆる「天才」なんでしょうね。
Commented by heitaroh at 2010-12-15 14:12
< sakanoueno-kumoさん

「感性の衰え」・・・、確かにあるでしょうね。
でも、それは、それゆえにこそ、時代が変わったのでも、世間から飽きられたのでもなく、感性が衰えたから売れなくなったという、自分の側の問題なのではないですか?
つまり、「良い物が作れない」→「良い物を作っていない」→「受け入れられない」・・・と。

また、長い間支持されているアーチストというのは、あながち、天才という一言で片づけてしまうわけにもいかないと思います。
すなわち、市場調査の有無です。
阿久悠さんは、新聞に多く載っているワードを拾い集めていたと言いますし、松任や由美さんは若い女の子が集まる所へ調査員をもぐり込ませて、若い女の子達の嗜好に変化がないか調査していたといいますから。
Commented by mohariza6 at 2010-12-15 22:02
小説家、画家、歌手、漫画家、その他、「芸」を売っている者は、
常に気が変わる今の雰囲気を取り込まないと、すぐ、大衆に厭きられてしまいます。
自分でも、同じ趣向で、表現していると飽きるものです。

感心するのは、スヌーピー(「ピーナッツ」)のチャールズ・ シュルツや、サザエさんの長谷川町子や、その他、新聞の四こま漫画を描いている漫画家は、毎日、描き続けながら、今を描きつつ、主人公達は、いつも同じドジをやり、ワンパターンなこと・・・。
でも、読者を飽きさせない。

そこが、アーティストが、いつまでも、生き残るヒントがあるように思います。
Commented by heitaroh at 2010-12-16 17:24
< mohariza6さん

私もそう思っていたのですが、ゲゲゲの女房を見て、少し考えを変えました。
時代が変わったのではなく、「良い物を提供していないのではないか」と。
劇中で、「もう飽きられた」と嘆く水木しげるに対し、イヌイさんが「本物は消えない」・・・という部分もながら、貧しい下積み時代に「SF物」の依頼が来たとき、敢然とそれを断り、自分の路線を崩さなかったところにもそれを感じました。

仰るように、スヌーピーやサザエさんなど、未だに受け入れられている物もあるわけで。
まあ、すべてがこの公式に当てはまるわけではないでしょうけどね。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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