花山大吉にみる近衛十四郎という役者とその時代 その3
親愛なるアッティクスへ

先日の続きです。

往年の人気時代劇「素浪人 花山大吉」ですが、この番組については、見ていてつくづく思うことがあります。
私は、「本当に良い物は、たとえ、時代が変わろうとも受け入れられるはずだ」という考えの持ち主ですから、自分が子供の頃に、老若男女を問わず惹き付けた時代劇だけに、是非、うちの子供たちにも見せておきたい・・・と思い、見せました。
まあ、それなりに面白かったみたいですが、それにしても、最近では、本当に「素浪人」とか「風来坊」とかいう言葉は聞かなくなりましたねぇ。
「旅ガラス」だ、「二本差し」だ・・・なんてのは、今の子供には理解不能でしょう。

また、友人同士でありながらも、「武士」である花山大吉「庶民」である焼津の半次とでは、互いに「俺の相棒だ」と言っているにも関わらず、生活する上では厳然とした身分の差がある・・・というのも、今のように妙な平等主義がはびこる現代日本人の感覚からすると、少し、違和感が感じられるんですよね。
放送当時は、武士と町人に身分の差がないことが逆に嘘臭く思えた時代だったのでしょうが、現代も放送されている「水戸黄門」「遠山の金さん」などは、武士が町人に化けているという立て前もあってか、そういう描写は殆どみられませんね。

で、その上で触れておきたいのが、第19話「お茶はお茶でも無茶だった」・・・です。
ストーリーをかいつまんで説明すると、『将軍家献上のお茶を運ぶ「御茶壷道中」の一行の、権威を笠に着た横暴に沿道の人たちは大いに苦しんでおり、以前、安易な理由で一行に息子を殺された老父が御茶壷襲撃を計画したことで、大吉・半次の両人はこの事件に巻き込まれてしまい、懸命に老父を止めようとするも、そのあまりの横暴を見かねた二人は、ついに一行と乱闘に及ぶ・・・』というものでした。
で、特に印象に残ったのが、刀を抜いて斬り込もうとする半次に、大吉が、「兄さん(半次)、斬ってはいかん。これは蟷螂の斧だ」と叫ぶシーンがありました。
まあ、斬りさえしなければ罪には成らないという解釈には少し首をひねるものの、「官」というものの、その抗い難い横暴と、世の中の不条理・・・。
「官には逆らえない」という、終戦から20年ちょっとの時代を生きた人たちにとっては、皆、共通の認識ではなかったでしょうか。
どうあっても、「お茶壺を襲撃し、徳川将軍家に、御茶壷のために迷惑している人たちが居る・・・ということを知らしめる」と言う老父に対し、大吉は、「だが、とっつぁん、世の中はそんなにたやすいものだろうかね」・・・などという辺り、「蟷螂の斧」という言葉には、自ら、シベリア抑留体験を持つ近衛十四郎という人の悲憤の情に裏打ちされた諦観が込められているようにも思えましたね。

ちなみに、この番組の主題歌、「素浪人まかり通る」を歌っていたのは、当時、売り出し中の北島三郎御大、33歳・・・。
作詞は名脚本家にして、特攻隊の生き残りとして知られる結束信二氏、このとき43歳・・・。
嗚呼、昭和は遠く成りにけり・・・でしょうか。

次回に続きます。
                                         平太独白
by heitaroh | 2009-05-18 17:58 | 文学芸術 | Trackback | Comments(4)
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Commented by homupe at 2009-05-19 06:02 x
こんにちは。はじめまして!
トラバありがとうございます。
これを機会に今後ともぜひよろしくお願いします。
Commented by へいたらう(管理人) at 2009-05-19 14:28 x
<homupeさん

コメント頂き有り難うございました。
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
Commented by homupe at 2009-05-20 19:38 x
こんばんは。
ありがとうございます。
非常に含蓄のある文章が多いですね・・・・
これからちょくちょくよらせていただきます!
Commented by heitaroh at 2009-05-21 14:54
<homupeさん

過分なお言葉有り難うございます。
なかなか、最近ではパソコンに向かうことができていないのですが、これに懲りず、今後とも宜しくお願いします。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by heitaroh
プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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